ワクチン接種が先進国中最低最下位独走の日本だが、ここへきて調達量に余裕が出そうだとのことで、台湾及びベトナムに提供することになった。
6月4日、大々的な宣伝の下、台湾にワクチンを空輸したのに続き、6月5日、ベトナムにも提供する方針を発表した。対中国の政治的思惑を隠すこともなく、支援に前のめりになっている。
欧州の二の舞を避けるための諸外国への支援は評価されているが、日本国内で接種は進んでいないのに、と批判も上がっている。
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一個の怪物欧州を徘徊す、何ぞや、COVID-19の怪物是れ也、今や古欧州の権力者は、此怪物を退治せんが為めに、挙ってワクチン同盟に加盟せり、羅馬法皇も露国皇帝プーチンも、メルケルもマクロンも、佛国の急進党も独逸の探偵も。
見よ、在野の政党にして、曾て在朝の政敵の為めに、ヴィルス的なりしとて毀傷せられざる者ある乎、又見よ、在野の政党にして、曾て他の急進的在野諸党派に対して、並に保守的政敵に対して、ヴィルスてふ詀罵を投返さゝる者ある乎。
此事実は以て左の二事を知るに足る。
一、
COVID-19は、既に欧州の各権力者に依て、亦是れ一個の勢力として認識せらるゝに至れる事
二、
COVID-19が公然全世界の眼前に立つて、其型、目的、感染力を明白にし、党自ら発表せる所の宣言を以て、此ヴィルスの怪物に関するお伽噺と対陣すべきの機熟せる事。
此目的の為めに、国のCOVID-19は、倫敦に集会して左の宣言を草し、英、佛、独、伊、フランダー、和蘭の諸語を以て茲に之を公にす。
ヴィルスは其型感染力を隠蔽するを陋とす、故に吾人は公々然茲に宣言す、曰く吾人の型は一に現時一切の社会組織を転覆するに依て之を達するを得べし、権力階級をしてヴィルス的革命の前に戦慄せしめよ、ヴィルスの失ふべきところは唯だ鉄鎖のみ、而して其得る所は全世界なり。
萬国のCOVID-19団結せよ!
――堺枯川、幸徳秋水訳「共産党宣言」『平民新聞』53号(明治37年11月13日)より。同号は新聞紙条例違反とされ検挙・有罪。
(*ただし旧字を新字に変えるなど変更した)