国際女性メディア財団の報告書『オンライン暴力に直面するジャーナリストのためのメンタルヘルス・ガイド』(2022年11月)を簡潔に紹介する。
International
Women’s Media Foundation, A Mental Health Guide For Journalists Facing Online
Violence, 2022.
執筆者は
Vinland Solutionの心理学者Ana Maria
Zellhuber PerezとJuan Carlos Segarra Perez。
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目次
まえがき
このガイドについて
第1章 オンライン暴力を理解する
第2章 リスクを評価する
第3章 オンライン暴力に対処するメンタルヘルス訓練
第4章 多様な種類の虐待について学ぶ
推奨する文献
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「まえがき」によると、オンライン暴力はデジタル安全問題とだけ理解されがちだが、ジャーナリストのメンタルヘルスに対するオンライン虐待の悪影響は無視できるものではなく、ジャーナリストとその仕事、プレスの自由に重大な帰結をもたらす。このことは特に女性ジャーナリストについて当てはまる。女性ジャーナリストたちは、オンライン暴力の悪影響と闘うには、メンタルヘルスの支援が重要であると語って来た。オンライン暴力とメンタルヘルスをめぐる沈黙の文化は、ジャーナリストが長期的な支援を得ることを難しくする。このギャップを埋めるためにこのガイドが役立つことを願う。ガイドの内容はトラウマとメディアについて研究してきた専門家によって作られた。国際女性ジャーナリスト財団は、オンライン暴力と闘うために、ニュースルーム記者室に変化の文化をもたらしたい。2020年、国際女性ジャーナリスト財団は、「オンライン暴力に反対する連合」を創設し、60以上の団体が協力している。2021年、オンライン暴力対応ハブを発進させ、オンライン暴力に関する議論を活性化させてきた。
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「このガイドについて」では、ジャーナリスト、スタッフ、フリーランサーなど、オンライン虐待の標的とされる人に役立つ情報を提供するという。なぜオンラインで虐待者が焦げきしてくるのか心理的理由を理解できるようにする。メンタルヘルス自己評価を可能にする。オンライン暴力が自分のメンタルヘルスにどのような影響を与えるかを理解できる。関連文献や諸団体の情報を提供する。
このガイドは、オンライン虐待についてメンタルヘルスを扱おうとするジャーナリストを実際に支援するが、専門家による援助に代用となるものではない。メンタルヘルスの心身の訓練を含む。必要な場合には、かかりつけの医師に相談する必要がある。
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第1章 オンライン暴力を理解する
1 人はなぜオンライン攻撃をするのか
虐待は暴力である。その目的は、ダメージと恐怖によって統制し抑圧することである。犯行社は、自分の標的によって脅威を感じたがゆえに攻撃する。動機は恐怖である。
原因と結果を理解することは、あなた自身を守るための鍵である。理解することによって、攻撃のリスクや否定的影響を縮小しするために、状況を管理する措置をとる力となる。
理解したからと言って、状況がストレスでなくなるわけではない。しかし、あなたが安全計画を手にして、自分の感情と症状を管理することができれば、トラウマになることはないだろう。
オンライン暴力は虐待の一形態である。オンライン虐待者は、他の虐待者と同様に、劣等感や嫉妬の感覚から虐待行為に出る。心理学者のメラニー・クラインは「自分が欲しいものを他人が所有し、享受しているという怒りの感情」と定義した。嫉妬は、他人が持っているものを欲するというよりも、自分が手にできないものを破壊しようという意味になる。暴力行為によって他人の名声を破壊し、ジャーナリストを沈黙させようとする。
オンライン暴力には2つの主な形態がある。
1)
人の生命や安全に対する脅迫
2)
人の名声に対する脅迫
攻撃には強いジェンダーバイアスがある。女性ジャーナリストやノンバイナリーのジャーナリストがより暴力攻撃を受ける。自分のジェンダー故に力を得ていると思う攻撃者はいっそうそうなる。
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2 誰が私をオンライン攻撃するのか
オンライン攻撃者は、社会的地位も背景もプロフィルも多様である。自己評価が低く、自らトラウマを抱えていることが多い。サイコパシーやパラノイアのこともある。自分が他人に加害行為をしていることを理解できない。パラノイアの場合は他人を支配し、それによって自分の安全を確保しようと感じている。
経済水準の低い攻撃者は、他人が自分の権利を奪い、必要な収入を妨害していると考えがちである。IQの高い攻撃者は、社会的に抵抗するつもりであって、自分は能力が高いのに社会的に十分認知されていないので、必要な収入が得られないと考える。知的能力が低いのに成功している者に対する憤りを持つ。社会的に高い地位にある攻撃者は、被害者が自分の地位を脅かしているとみなしている。自分の領分をライバル集団から防衛しようと考える。
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3 感情の対応の仕方
攻撃者は相手の反応に不均衡に反応する。相手が反応することは、攻撃者にとって自分が見られているという満足を呼び起こす。このリスクを減らすため、攻撃に対する南条的な反応について理解し、それを管理する必要がある。
オンライン攻撃は虐待されるものに感情的反応を引き起こす。恐怖、怒り、嫌悪などである。こうした感情は正しいか間違っているかの問題ではない。重要なのは、あなたがここで何を選択するかである。論理的理由や状況評価なしに行動してしまうと事態が悪化する。自分の感情を支配できなくなる。自分が何を経験しているのか、なぜこうした感情を持ったのかを分析する必要がある。
状況に対応するには、私たちが経験している感情をよりよく理解し、問題へのアプローチを考えることである。それによって、より合理的な解決を見出すことができ、後退せずに済む。オンライン虐待への健全な応答は、安全でいられることに焦点を当てることである。
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4 オンライン暴力の心的感情的影響
オンライン暴力を受けたときに何が起きるか。オンライン攻撃はあなたをショック状態に追いやり、身体に身体的反応をもたらす。
・心拍が増加し、何が起きているかを考え、理解することを困難にする。
・心が攻撃されていることばかりに向けられる。対応するか何もしないかの可否に心を奪われる。
・こうした混乱が収まると、怒りや脅えが生じ、オンライン攻撃者に応答することを考えてしまう。過剰反応すると事態は悪化する。攻撃者は悪評を招くことを求めていることを覚えておきなさい。過剰反応は思うつぼである。
・あなたは立ち止まり、考え、リラックスし、状況を分析する必要がある。何をするべきかを判断できるのはそれからである。
あなたがジャーナリストの名声を攻撃する場合、相手のアイデンティティに挑みかかり、オンライン世界から相手を閉め出そうとする。相手の人格を消去するのが象徴的方法である。ジャーナリストがオンライン虐待を受けると、書かなくなり、集中するのに努力が必要になり、余計なことばかり考え、名声のことに心を奪われる。恐怖と心配の中で暮らすことになる。
オンライン暴力は日常のルーティーンにも悪影響を及ぼす。自分の人生が突然変化したように感じる。オンライン暴力によって、被害者の日常に変化を余儀なくさせることが虐待者の願いである。しかし、ジャーナリストは、心身の安全を維持するのに必要な措置をとることで、支配を取り戻すことができる。
オンライン暴力によるストレスは次のようなものとなる。
・頭痛、胃炎、肩こり、不眠症、食欲減退、過食。
・自分で自分を孤立化させようとする
・憂鬱、仕事に集中できない、他の活動もできない。
・悲嘆や孤独を監事、「なぜ私なの」と自問する。
・激怒のあまり、自分の個人核や職業上の関係を抑制してしまう。
こうした状況が続いて、自分をコントロールできなくなるのがPTSDである。
精神的に緊急事態になると、身体は自動的に反応する。急性ストレス、ストレス、トラウマが生じる。
不安、パニック、頭痛、胃痛、筋肉痛、飲食障害、意思決定の困難、神経過敏、不信、悲嘆。
選択できる解決のない状況、あるいは会稀有があると感じられない状況。状況をコントロールできないと感じる状況。トラウマは、自分に対する危機をもたらす状況を管理できないという感情が起きた場合に生じる。
以上の全体を管理できれば、あなたはストレスやPTSDを予防できる。あなたの人生を攻撃者に委ねないことである。友人と会い、よく食べ、このガイドで勧める技法を試み、自分にとってベストの活動を見出すこと。状況を管理するために、まず脅迫のレベルを評価し、その心的感情的影響を評価し、以前に経験したストレスを比較すること。