伊藤千尋『非戦の誓い 「憲法9条の碑」を歩く』(あけび書房)
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軍隊を持たないコスタリカの平和憲法や、アフリカ沖のカナリア諸島(スペイン)の「憲法9条の碑」を紹介してきたジャーナリスト伊藤千尋が、全国各地の9条の碑を訪ね歩いた記録である。
沖縄には7つの9条の碑がある。那覇市、南風原町、読谷村、西原町、大宜見村、石垣市、宮古市の9条の碑を順に巡り歩いて、その建立者の思いを紹介している。最初に紹介された那覇市の与儀公園の恒久平和の碑には9条が彫られ、那覇市長の名前も刻まれている。1985年、全国で初めて、しかも地方自治体が建てた。
続いて伊藤は愛媛県大洲市、広島市、岡山県鏡野的、兵庫県福崎町などを回る。首都圏では差玉健北本市、春日部市に9条の碑がある。
巻末の一覧には23の9条の碑が記されているが、24番目に東京都足立区柳原の9条の碑が予定されていて、これもすでにできており、除幕式では伊藤が祝辞を述べている。
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球状の碑が映し出す平和――ついに漕ぎつけた東京初の9条の碑建立
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さらに北海道室蘭市でも準備中という。東京では板橋区などでも準備している。
本書に戻ると、海外ではスペインのカナリア諸島に加えて、トルコのチャナッカレにも9条の碑ができている。その建立者はアイルランドなどにも建てたいと考えているという。
つまり、全国各地に1985年以来、次々と9条の碑が増えてきたし、これからも増えていく。世界では1996年のカナリア諸島に始まり、今後も増える可能性がある。
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ロシアのウクライナ侵略を見て、「9条で国を守れるか」と唱える声が高まっている。憲法9条擁護と平和主義を唱えていたはずの人間が「ウクライナに武器を送れ!」と叫んでいる。
これに対して、伊藤千尋は次のように述べる。
「それは違います。考えてみてください。ウクライナは9条を持っていたから侵攻を許したのではありません。もしロシアに9条があったら、そもそも侵略など起きようもなかった。ここから教訓を導き出すなら、今こそ世界に9条を拡げるべきだということです。」
「『国を守る』という発想は、往々にして国境の向こうを敵国と想定しがちです。それは軍拡競争を招き、下手をすると戦争に発展します。9条の発想は、自国民だけでなく相手の国民も守ろうとします。言うならば『9条は人類を守る』のです。」
ここに揺るぎのない平和思想が提示されている。憲法前文の平和的生存権はその主語を「全世界の国民」と設定している。前文と9条に凝縮した平和思想はまさに「殺すことも、殺されることも拒否する市民の平和思想」である。
9条擁護と言ってきたのに、いざ戦争が始まると戦争熱に浮かされて、戦争と軍事同盟を擁護し武器輸出を呼びかける自称「平和主義者」もいる。メッキが剥がれても気づこうともしないようだ。
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本書で紹介された9条の碑のうち、私が行ったのは那覇市、読谷村、石垣市、足立区柳原、カナリア諸島である。
伊藤がカナリア諸島を紹介していたので、カナリア諸島を訪れたのは2012年だった。9条の碑のタイルが割れていたが、その後修復された。
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