国連事務総局は、2022年10月5日、国連安保理事会に報告書『女性、平和、安全保障』(S/2022/740. 5 October 2022)を提出した。報告書はA4版31頁である。以下、ごくごく簡潔に紹介する。
*
目次
Ⅰ 序文
Ⅱ 女性、平和、安全保障の10年の目標――人権を保護し、人権を擁護する者の人権を保護する
Ⅲ 女性、平和、安全保障にかかわる前進、溝、難関の現状
A 和平過程と政治的移行におけるジェンダー平等と女性の有意義な参加の前進
B ジェンダーに応答した平和維持と平和作戦
C 紛争解決と人道危機における女性と少女の人権とリーダーシップの保護と促進
D 軍縮と軍備管理
E 政治参加と代表
F 経済復興と資源へのアクセス
G 法の支配と女性の司法へのアクセス
H テロリズムと暴力的過激主義の予防と対抗
I 気候変動とその平和と安全保障への含意
Ⅳ 女性、平和、安全保障関与を実現する行動
A 国内及び地域レベルでの行動計画と結果の監視
B 国連におけるリーダーシップ、調整、責任
C 女性、平和、安全保障の課題の財政
Ⅴ 安保理事会の活動
Ⅵ 結論と勧告
*
Ⅰ 序文
国連安保理事会は2000年10月26日、決議1325(2000)を採択した際に、議長声明において事務総局に報告を要請した。2019~2020年に女性、平和、安全保障について特別に注意を払うことが確認された。
2000年以来、規範レベルでは合意がなされているにもかかわらず、現実は逆の方向に向かっている。世界は女性の権利についての獲得成果に対する逆流を経験している。
女性嫌悪と権威主義が民主政治にとって難関となっている。暴力的過激主義集団や軍事的集団が実力を行使して、ジェンダー平等の成果を取り消し、声を挙げる女性たちを迫害している。
もっとも極端な事例はアフガニスタンであり、ターリバーンが内閣には男性だけを任命し、女性の中等学校を閉鎖し、女性が屋外で顔を見せることを禁止し、自宅から出かける権利を否定している。少女の大多数が教室から追い出されている。2000万の女性と少女が基本的人権を否定され、女性団体の51%が閉鎖された。
アフガニスタンは女性の人権の退却や女性に対する暴力の見られる唯一の場所ではない。ほとんどの紛争地で、男性が権力を握り、女性が排除されている。
多くの諸国で、女性は権威主義的リーダーに抗議する前線に立っている。平等な法と意思決定への参与を獲得した国もある。女性の統合のために具体的行動が続いている。
女性、平和、安全保障の課題は、単に歴史的な過ちや周縁化への回答ではなく、物事を多用にする機会である。統合と参加の扉を開くことは、紛争予防と平和構築のための巨大な一歩である。