Wednesday, May 04, 2016

ヘイト・クライム禁止法(109)イラク

イラク政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/IRQ/15-21. 2 October 2013)によると、憲法第1章第7条の基本原則が、宗教的憎悪を鼓舞し又は差別、敵意、暴力を助長することを禁止している。宗教施設、教会、シンボルは尊重・保護されるべきである。憲法第10条は、宗教施設及び信仰の自由を尊重するとしている。憲法第42条は思想・良心・信仰の自由を定めている。
憲法第7条に従って、人種主義、テロリズム、民族浄化を禁止する法律案が準備されている。法案第2条2項は、民主主義及び権力の平和的移行に反する考えを支持する政党や政治団体を禁止する。第2条3項は、憲法の原則に反する目的や活動を行う政党や政治団体を禁止する。第9条は、人種主義や民族浄化を支持、煽動、正当化、促進した者、及び民主主義及び権力の平和的移行に反する考えを支持した者は最長10年までの刑事施設収容とする。第11条1項は、法によって規定された権利を市民から剥奪した者、世俗的、宗教的又は倫理的理由で公務を妨害した者を、最長5年までの刑事施設収容とする。第11条3項は、世俗的、宗教的又は倫理的理由で差別が行われたと裁判所に告発し、告発に根拠がないと判明した者を刑事施設収容とする。

刑法372条は次のように定める。「(a)信仰共同体の信念を公然と攻撃し、宗教行為を誹謗した者、(b)信仰共同体や宗教行事を意図的に誹謗した者、(c)信仰共同体が信仰のために使用する建造物、宗教シンボル、その他の聖なる物を、破壊、破損、落書き、汚した者は、最長3年までの刑事施設収容及び300ディナールの罰金とする」。