Friday, March 22, 2019

歴代総理の沖縄観をつぶさに検証


塩田潮『内閣総理大臣の沖縄問題』(平凡社新書)

吉田茂、芦田均、佐藤栄作、大平正芳、宮沢喜一、村山富市、橋本龍太郎、小渕恵三、小泉純一郎、鳩山由紀夫、そして安倍晋三にいたる歴代総理が、沖縄にいかに向き合ってきたかを検証している。前半は沖縄返還問題であり、後半は現在の米軍基地問題である。大筋はみな知っていることだが、その都度、総理がいかなる情勢、いかなる情報の元、どのように行動したかを、エピソードを交えて叙述している。

総理の立場から問題を見て、解決策を求めるので、どの総理もそれぞれの善意で、最善を尽くしていたかのような錯覚に陥る面もないではない。

安倍政権は、アベノミクスや集団的自衛権に力を入れて、沖縄問題に優先的ではなかったのが、ここへ来て重大問題になっている。それならば、と塩田は最後に言う。

「結果重視の安倍が本気で『政治の責務』を意識するなら、『沖縄問題は内閣の最重要課題』と公言した橋本を手本に、沖縄問題の政策的優先順位を格上げして、沖縄とのハートフルなネットワーク作りも含め、総力結集態勢を構築しなければならない。」

「何よりも民主主義に対する深い理解と『沖縄の民意との結託』という道を選択する柔軟さが安倍政権に求められる。問われているのは、内閣総理大臣の沖縄問題に取り組む識見と力量である。」

もっともだが、ないものねだりである。