Saturday, November 21, 2020

ヘイト・クライム禁止法(187)パレスチナ

パレスチナがCERDに初めて提出した報告書(CERD/C/PSE/1-2. 16 October 2018

パレスチナはCERD一般的勧告35号に合致して、条約第4条と表現の自由のバランスをとっている。パレスチナ独立宣言は国連の原則と目的、世界人権宣言を尊重している。国際自由権規約に留保なしに加入した。基本法19条及び1995年の印刷出版法第2条は意見と表現の自由を保障する。

刑法は人種の優越性の流布、人種・民族憎悪、憎悪の煽動、暴力の煽動を行う表現の自由を規制する。1960年のヨルダン刑法130条は、西岸に適用されるが、国民感情を貶め、人種的宗教的緊張を刺激する目的の宣伝を流布する者は3年以上15年以下の刑事施設収容とする。刑法150条は宗教的人種的緊張に油を注ぎ、コミュニティ間や国民間の紛争を扇動する目的の文書や言説を行う者は6月以上3年以下の刑事施設収容とする。

 1936年の刑法はガザ地区に適用されるが、刑法59条及び60条は、パレスチナ住民の間に不和をもたらす者、住民の異なる人々に悪意や敵意の感情を助長する者は3年の刑事施設収容とする。

 1995年の印刷出版法第47条は、国民の統合を貶め、犯罪実行を煽動し、敵意を拡散し、憎悪や不和を植え付け、コミュニティの構成員の信条主義を刺激するものは3月以下の停職とする。

 2007年の公職選挙法第108条は、性別、宗教、信仰、職業、障害を基に他の候補者を避難する宣伝、言説、広告又は図像を用いた者は6月以上の刑事施設収容、及び500ドルの罰金とする。

 2017年のサイバー犯罪法第24条は、特定の集団に対する人種差別を目的とし、人種、信条、皮膚の色、外貌又は障害に基づいて人を脅迫、侮辱、攻撃し、インターネットや情報技術を通して人種差別に油を注ぐ情報を流布・回覧するウエブサイト、アプリケーション、電子アカウントをつくった者は、一定期間の強制労働、及び5000以上10万以下ヨルダン・ディナールの罰金とする。

 サイバー犯罪法第25条は、国際法文書に示されたジェノサイドや人道に対する罪を誤解し、又は正当化し、人道に対する罪の実行を援助・煽動した者は10年以上の強制労働とする。

 パレスチナにはアルメニア人やシリア人も居住するので、人種、皮膚の色、世系、人種的民族的出身を超えた交差性原則を考慮している。

 西岸に適用される刑法第278条は、他人の宗教感情を攻撃し、宗教信仰を侮辱する印刷物、文書、図像、絵画、シンボルを配布した者、公共の場や他人に聞こえる範囲で、その人の宗教感情を攻撃、侮辱する者は3月以上の刑事施設収容又は20ディナールの罰金とする。

 ガザに適用される刑法第149条は、他人の宗教感情を攻撃し、宗教信仰を侮辱する印刷物、文書、図像、絵画、シンボルを配布した者、公共の場や他人に聞こえる範囲で、その人の宗教感情を攻撃、侮辱する者は1年の刑事施設収容とする。

 1995年尾印刷出版法第47条は、宗教や信仰を貶める記事を掲載した新聞やメディアについて3月以上の停職とする。

 2017年のサイバー犯罪法第21条は、聖なる場所、宗教信仰を害し、侮辱する意図をもって、インターネットや情報技術を通じてウエブサイトを作り、情報を流布した者は、1年以上の刑事施設収容及び/又は2000以上5000以下ディナールの罰金とする。

 西岸に適用される刑法第144条は、内戦や信仰対立を引き起こす意図をもって組織された武装集団に参加した者は修身の刑事施設収容とする。

 西岸に適用される刑法第151条は、宗教的緊張や人種的緊張を煽り、コミュニティ間の紛争を煽動するために設立された組織に参加した者は、6月以上3年以下の刑事施設収容、及び50ディナールの罰金とする。当該目的の組織は解散される。

 ガザに適用される刑法第69条は、違法組織とは、住民に不和を掻き立てる目的の行為を唱道、煽動、鼓舞する人の集団とする。第70条は、違法集団のメンバーとなった16歳以上の者、違法組織の事務局員となった者、違法組織の代表者は1年の刑事施設とする。

2012年のイスラエル政府報告書審査の結果としてCERDがイスラエルに勧告したように、イスラエル占領下でヘイト・スピーチの禁止が必要である。占領権力はヘイトの文化を改革する措置を講じていない。それどころかユダヤ系イスラエルの人種的優越性に基づく思想が公式に信奉されている。2017年、イスラエル外務省は、イスラエルは文明都市であり、アラブ人は遅れた非人間的だとする人種主義的漫画を出版した。これは人種主義と暴力を煽動・鼓舞するものである。

 2001年のダーバン会議の時に、イスラエル財務大臣が、パレスチナが参加しているからという理由で「憎悪の祭り」と決めつけた。イスラエルによる差別政策にパレスチナ人が苦しんできたことを無視している。イスラエルは人種主義的で敵対的な環境を創り出し、アラブ人やパレスチナ人の殺害を唱える過激集団を育成してきた。非常に多くの事例があるが、一部を紹介する。

ヒルトップ青年集団は、占領パレスチナの丘に違法な山猫基地を作り過激な宗教的活動をしている。パレスチナ人と財産を攻撃してきた。

「値段札」集団はヒルトップ青年集団に属するが、西岸のパレスチナ人を攻撃してきた。もっとも有名な事件は南ナブルスのドマ村のダワブシャ家族の家を襲撃し、夫婦と赤ん坊が焼き殺された。

レハヴァ組織は、ユダヤ人と非ユダヤ人の結婚を阻止しようとする過激な人種主義集団である、西岸の特殊キャンプで訓練を続けている。

ユダヤ人タスクフォースは、イスラエルはすべてユダヤ人のための土地であるという主張で、パレスチナ人を排除する活動をしてきた。

占領下のイェルサレムではパレスチナ人に対する煽動、暴力、ハラスメント、人種差別の環境が抑制されていない。住民を攻撃する武装集団、日々のハラスメントが続いている。某量の波はパレスチナ人の身体的統合だけでなく生命権に影響を及ぼしている。2014年7月2日、イスラエル植民者は東イェルサレムのシュファ難民キャンプの赤ん坊を誘拐し、焼き殺した。植民者はアルメニア人も攻撃して、アルメニア人地区の壁に「アラブ人とアルメニア人に死を」と落書きしている。

CERDがパレスチナに出した勧告(CERD/C/PSE/CO/1-2.20September 2019

刑事司法における人種主義の予防に関する一般的勧告31を想起し、人種差別の申し立てと法的対応のないこと、法的救済が貧弱であることに注意を喚起し、責任者の捜査と制裁を行うよう勧告する。法執行官、検察官、裁判官その他の公務員に人種差別に関する研修を行うこと。条約の下で保障される権利について啓発キャンペーンを行うこと。捜査、訴追、判決、被害者補償に関する統計データを報告すること。

1936年刑法、1960年刑法、印刷出版法、サイバー犯罪法がヘイト・クライム/スピーチを犯罪としているが、条約第4条に完全に合致していない。規定が過度に広範であいまいなため、表現の自由に重大な制限を科し、ジャーナリストや人権活動家を犯罪化してしまう懸念がある。ハマスによるメディアやソーシャルメディア、学校教科書に、イスラエル人に対するヘイト・スピーチがあり、反ユダヤ主義に油を注いでいる。

1936年刑法、1960年刑法、印刷出版法、サイバー犯罪法を修正して、条約第4条に合致させること。ジャーナリスト、人権活動家を傷害、ハラスメント、逮捕、拘禁、訴追するほうが表現の自由を制約しているので是正すること。公的人物、政治家、メディアがインターネット上でヘイト・スピーチや暴力の煽動をしているので、これと闘い、学校教科書から偏見と憎悪のもとになる記述を削除すること。