Tuesday, April 16, 2013
ヘイト・クライム禁止法(9)
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ政府が人種差別撤廃委員会に提出した第7・8回政府報告書(CERD/C/BIH/7-8. 21 April 2009.)によると、刑法第163条は、憲法秩序に対する犯罪を定めているが、その中に国民的人種的宗教的憎悪の煽動を手段とするものが含まれている。刑法第166条は殺人罪の規定だが、第2項では、人種的国民的宗教的理由による殺人の場合に刑罰加重が定められている。そして刑法177条がある。
「刑法第177条 個人の平等侵害(1)人種、皮膚の色、国民的民族的背景、宗教、政治その他の信念、性別、性的志向、言語、教育、社会的地位又は社会的出身に基づいて、国際条約、憲法、法律、その他の規則又は連邦の一般行為によって提供された人の公民権を否定又は制限した者、又はこれらの差異、背景、その他の地位に基づいて、人に正当化されない特権や有利な地位を与えた者は、6月以上5年以下の刑事施設収容に処する。(2)連邦の公務員又は責任ある者が、前項の犯罪を行った場合、1年以上8年以下の刑事施設収容に処する。(3)連邦組織における公務員または責任ある者が、連邦の構成員又はその他の居住者の言語や文字の平等な使用の原則に違反して、連邦組織、企業又はその他の法人に自己の権利を行使するために提出する文書において、その者の言語又は文字の自由な使用を制限又は否定した場合、罰金又は1年以下の刑事施設収容に処する。(4)連邦組織の公務員又は責任ある者が、連邦内および特定の組織で、自由な雇用の市民権を否定又は制限した場合、6月以上5年以下の刑事施設収容に処する。」
独特の差別禁止条項である。特に177条(3)が実際にどのように適用されているのか気になる。日本では、裁判所が、法廷におけるアイヌ語や琉球語の使用を否定してきた。