Wednesday, April 17, 2013
ヘイト・スピーチ処罰実例(2)
オランダ政府が人種差別撤廃委員会に提出した第18回報告書(CERD/C/NLD/18. 3 March 2008)には多数の判決が紹介されている。主要なものをいくつか紹介。
2002年2月22日、レルモンド地裁判決は、民族的マイノリティ集団に向かって、「外国人は出て行け」「ホワイト・パワー」「汚い外国人、汚いトルコ人」などと叫んだ男性を、40日間に80時間の社会奉仕命令と、1ヶ月間の刑事施設収容(執行猶予付)とした。
2002年6月11日、ドルトレヒト地裁判決は、新国民党のウェブサイトが、モロッコ出身者を危険視し、犯罪者扱いし、アパルトヘイトの必要性を唱えたことについて、新国民党議長に刑法137条d(差別の煽動)で有罪とし、高齢で健康状態が悪いことから、罰金660ユーロを言い渡した。
2003年4月29日、ゼルトゲンボシュ控訴審判決は、「ストップ難民」というタイトルで、難民を批判したパンフレットをデモの際に配布した3人が、軍靴を履き、ネオナチの標識を付していたこと、「外国人は出て行け」と叫んでいたこと、3人のうち2人は同種前科があることに着目して、2人はそれぞれ6週間と4週間の刑事施設収容、残りの1人は4週間の刑事施設収容(2週間は執行猶予)を言い渡した。
2003年9月11日、アムステルダム控訴審判決は、公開集会でムスリム、ユダヤ人、スリナム人、アンティル諸島人を侮辱する発言をした極右政党のオランダ民族同盟議長に4ヶ月の刑事施設収容(2ヶ月は執行猶予)を言い渡した。
2005年12月29日、アムステルダム地裁判決は、モロッコ人やトルコ人を批判したオランダ・シオニスト連盟議長を不起訴とした検察官の決定に対する異議申立について、議長発言が公開討論の過程におけるものであり、その文脈ではただちに侮辱や中傷には当たらないとして、申立を却下した。
2006年11月6日、ブレダ地裁は、皮膚の黒い女性に向かって「ホワイト・パワーは永遠よ、いまこそホワイト・パワーよ」と叫んだ若い女性に、500ユーロ(うち250ユーロは執行猶予付)を言い渡した。
2006年11月17日、アムステルダム控訴審判決は、「風刺ウェブサイト」と称してユダヤ人や同性愛者への侮辱をした男性に1週間の刑事施設収容(執行猶予)と500ユーロの罰金を言い渡した。