Saturday, April 20, 2013
ヘイト・クライム禁止法(12)
モロッコ政府が人種差別撤廃委員会に提出した第17・18回報告書によると(CERD/C/MAR/17-18. 9 November 2009.)、2003年11月11日に改正された刑法第431の1bis条は、差別犯罪を次のように定義している。「国民的出身、社会的出身、皮膚の色、人種、家族状況、健康状態、障害、政治的意見又は労働組合委員であることを理由として自然人の間で区別すること、又は人が特定の人種、国民、民族集団又は宗教の構成員であることや、そう考えられたことのために自然人の間で区別すること」。差別犯罪は、1月以上2年以下の刑事施設収容および1200ディラム以上5万ディラム以下の罰金を科される。差別犯罪は自然人に対してだけではなく、法人に対しても成立する。刑法第431の1bis条第2項は、その構成員の出身、人種、家族状況、健康状態、障害、政治的意見又は労働組合活動のために、又は特定の人種、国民、民族集団又は宗教の構成員であることや、そう考えられたことのために、法人に対してなされた区別を規定している。差別犯罪に科される刑罰は、便益やサービスを与えないこと、雇用の否定、人に対する制裁、解雇にいたる差別行為に適用される。犯罪の定義には経済活動も含まれる。
2002年10月3日に改正されたプレス法第39bis条は、マスメディア、公開の議論、公開集会、公開の場所における人種差別を禁止している。1月以上1年以下の刑事施設収容および3000ディラム以上3万ディラム以下の罰金を課される。この禁止は、人種差別撤廃条約第四条が規定するように、人種差別の教唆にも適用される。差別行為の実行者だけでなく、資金提供も含む人種差別の援助などの共犯にも適用される。共犯にも同じ刑罰が適用される。
2002年7月23日の結社法は、差別を推進する結社の設立を禁止している。同様の規定は最近制定された政党法にも含まれている。結社法第3条は、人種主義的基盤に基づいた結社、又は差別の教唆を目的とする結社は違法であるとする。結社法に違反すれば民事制裁として当該結社は無効と宣言され、当該犯罪を犯した個人は1万ディラム以下の罰金を課される。