Thursday, April 18, 2013

ヘイト・クライム禁止法(10)

エストニア政府が人種差別撤廃委員会に提出した第8・9回政府報告書(CERD/C/465/Add.1. 1.April 2005.)によると、2001年6月、議会が採択した刑法第10章は、政治的市民的権利に対する犯罪としての平等侵害犯罪を3つ定めている。社会的憎悪の煽動、平等侵害、遺伝的リスクに基づく差別である。さらに、2004年7月の刑法改正によって、社会的憎悪の煽動と平等侵害について、その行為が加重事情のもとで行われたか否かによって、3段階の刑罰が用意された。                                                                「刑法第134条 誘拐 (1)彼又は彼女を人種、ジェンダー、その他の理由によって迫害又は屈辱を与えるような状態で、及び彼又は彼女がそのような取り扱いからの法的保護を失うか、その状態から逃れることをできなくさせて、暴力又は詐欺によって、人を連れ去ることは、罰金又は5年以下の刑事施設収容に処する。(2)前項の行為が、複数人に対して、又は18歳未満の者に対して行われた場合は、2年以上10年以下の刑事施設収容に処する。                                                                                刑法第151条 社会的憎悪の煽動 (1)国籍、人種、皮膚の色、性別、言語、出身、宗教、政治的意見、財産状態又は社会的地位に基づいて、憎悪又は暴力を公に煽動する行為は、300ユニット以下の罰金又は拘留に処する。(2)前項の行為が、複数回行われた場合、又はそれにより法によって保護された他人の権利や利益、又は公共の利害に重大な損害を惹起した場合、3年以下の刑事施設収容に処する。                                                                          刑法第152条 平等侵害 (1)彼又は彼女の国籍、人種、皮膚の色、性別、言語、出身、宗教、政治的意見、財産状態又は社会地位に基づいて、人の権利を不法に制限し、又は人に不法に特恵を与えることは、300ユニット以下の罰金又は拘留に処する。(2)前項の行為が、複数回行われた場合、又はそれにより法によって保護された人の権利や利益、又は公共の利害に重大な損害を惹起した場合、罰金又は1年以下の刑事施設収容に処する。                                                                                                          刑法第153条 遺伝的リスクに基づく差別 (1)彼又は彼女の遺伝的リスクに基づいて、人の権利を不法に制限し、又は人に不法に特恵を与えることは、300ユニット以下の罰金又は拘留に処する。(2)前項の行為が、複数回行われた場合、又はそれにより法によって保護された人の権利や利益、又は公共の利害に重大な損害を惹起した場合、罰金又は1年以下の刑事施設収容に処する。」                                                                      誘拐罪や、遺伝的リスクに基づく差別に関してこの種の規定は珍しい。立法を促すような事件が起きていたのかもしれない。