Sunday, January 26, 2014
ヘイト・クライム禁止法(46)リヒテンシュタイン
リヒテンシュタイン政府が人種差別撤廃委員会81会期に提出した報告書(CERD/C/LIE/4-6. 14 February 2012)によると、前回審査において人種差別撤廃委員会がリヒテンシュタイン政府に対して、人種差別撤廃条約4条(b)に合致する特別立法をするように勧告した。この件について、警察は、条約4条(b)にいう人種主義団体が存在するとは認識していないが、国外で活動する人種主義団体と連絡している人物に関する情報を把握している。人種主義的な人物や極右過激思想を持つ人物による集会を阻止し、解散させた。2007年、極右過激思想をもつ者たちのクラブハウスを禁止した。メンバーは逮捕され、刑事施設収容の執行猶予判決を受けた。
リヒテンシュタインには右翼ポピュリスト政党は存在しない。しかし、2009年の社会科学的調査によると、30~40人程度の極右過激サークルがあるが、顕著な指導者は存在しない。その集団を警察は慎重に監視している。
2011年3月、政府は極右過激派に関する調査報告書を初めて発表した。事件年表、対策措置、メディアの状況、若者の集会などに関する包括的文書である。
本報告書が扱う期間に警察に届け出られた人種差別事件は23件である。2007年には上述のクラブハウス閉鎖、2008年には集団乱闘が1件、2009年と2010年にはトルコ人店舗に対する放火が3件。
人種差別撤廃委員会はリヒテンシュタイン政府に対して、刑法283条1項(7)が人種差別促進・煽動団体構成員を犯罪化しているが、条約4条に従った人種主義団体を特に禁止する法律がないことを残念に思うとし、委員会一般的勧告15(1993年)に注意を喚起し、リヒテンシュタイン政府が条約4条に完全に従った、人種差別促進団体を特に禁止する法律を制定するよう勧告した(CERD/C/LIE/CO/4-6. 23 October 2012)。