神奈川新聞「時代の正体」取材班『時代の正体――権力はかくも暴走する』(現代思潮新社)
戦争を平和と呼ぶ狂った政治家による憲法破壊のクーデタを目撃させられた9月、この国に生きる私たち市民は、自らを侮辱しながら底なしの泥沼で溺れながら、沈もうとしている。立憲主義、民主主義、平和主義といった原理原則が、あまりにも無造作に踏みにじられ、信頼や連帯や共感が死滅させられようとしている。
神奈川新聞の記者たちは、「時代の正体」という言葉で、アベシンゾー的世界を多面的に描き出している。
「「安全保障」の暴走」
「抑圧の海――米軍基地を問う」
「ヘイトスピーチの街で」
「戦後70年――扇動と欺瞞の偉大に」
「熱狂なきファシズム(想田和弘、内田樹、高橋源一郎、辺見庸)」
おびただしいウソを連ねて、権力を私物化する卑劣漢の正体を暴く作業は、アベシンゾー的世界の空気と実態を追跡することになる。それは侮蔑にしか値しない腐敗に覆われた「美しい国」の末路である。
憤慨し、怒り、そして悲嘆にくれる日々だが、ここから次の一歩を進めるしかない。国会前で、全国各地の路上で、ひたむきに叫び、論じあい、行動した人々が、いま、新しい民主主義のスタートラインに立っている。立憲主義を、平和主義を、私たち自身の手で再獲得するために。