山本崇記「部落問題と差別規制の課題に関する予備的考察――ヘイト・スピーチを中心に」『世界人権問題研究センター研究紀要』20号(2015年)
これまでの部落差別と、最近話題のヘイト・スピーチとを、その共通性と差異を踏まえて検討し、差別行為の規制について、特に自治体レベルの対応と地域社会における対応に焦点を当てて分析している。
部落差別の規制については、国レベルの人権擁護法案や、地方レベルの人権条例の現状を明らかにしている。部落差別の理解については、「実体から関係へ」の視点移動を強調し、ヘイト・スピーチも「三者関係としての差別」と把握できる。そこから部落差別事象の変遷をたどり、2003~08年の連続大量差別はがき事件と、2011年の水平社博物館差別街宣事件を分析し、ヘイト・スピーチ対策について検討する。