Friday, October 25, 2013

人権委員会一般的意見35号審議(人身の自由と安全)

24日午後3~6時、ジュネーヴのパレ・ウィルソン(国連人権高等弁務官事務所)で開催中の人権委員会(Human Rights Committee、自由権規約委員会)は、「一般的意見35号草案、第9条:人身の自由と安全」の審議を行った。人権委員会は、各国政府の報告書を審査した結果として、それぞれの国に対して勧告的意見を出す。日本政府に対しても、代用監獄の廃止や死刑の廃止・制限などさまざまな勧告的意見を出してきた。それとは別に、特定の国を相手としたものではなく、一般的意見を出すことができる。これまで例えば、34号は2011年に出された意見・表現の自由、19号は2008年の家族の保護、15号は2008年の外国人の地位などについて、34の意見を出してきた。今回は35号の草案を審議している。審議は10月17日、18日にも行われ、24日が3回目だった。今後、29日、31日にも審議が予定されている。草案(CCPR/C/107/R.3)は人権高等弁務官事務所のウェブサイトに掲載されている。草案は全7章71パラグラフからなる。A4版で21頁。229もの註がついた、詳細な意見である。註の大半は、これまでの人権委員会の一般的意見や各国への勧告的意見である。目次を示すと、Ⅰ総論、Ⅱ恣意的拘禁と不法拘禁、Ⅲ逮捕及び刑事訴追の理由の告知、Ⅳ刑事訴追と結びついた拘禁の司法的統制、Ⅴ不法又は恣意的拘禁からの釈放を求める手続きをとる権利、Ⅵ不法又は恣意的逮捕・拘禁の補償の権利、Ⅶ自由権規約9条とその他の諸規定との関係。24日の審議はパラグラフごとの逐条審議形式で行われた。担当の報告者はアメリカ政府推薦のニューマン委員。本人が国連に届け出たプロフィルによると、ニューマンGerald Neumanは1952年生まれのアメリカの法律家で、ペンシルバニア、コロンビアを経て現在ハーバード・ロー・スクール教授(人権、アメリカ憲法、比較憲法)。著書は『人権』、『憲法に対する外国人:移民、国境、基本法』がある。60歳にもなるのに、なんと2冊しかない! 大丈夫かと少し心配になる。審議は、Ⅳ刑事訴追と結びついた拘禁の司法的統制、に始まり。Ⅴ不法又は恣意的拘禁からの釈放を求める手続きをとる権利、の途中まで進んだ。ニューマン報告者が各パラグラフについて少し説明し、他の委員が質問や意見を出しながら進める。シャネ委員(フランス)がフランスの情報や欧州人権裁判所の情報を提起していた。ケリン委員(スイス)も欧州人権裁判所の判例に触れていた。ブジ委員(アルジェリア)もアフリカの経験を話していた。ナイジェル・ロドリー委員は一言も発言しなかった。パラグラフ32から46まで消化した。一例として、日本にとっても非常に重要なパラグラフ37を示しておく。37. Once the individual has been brought before the judge, the judge must decide whether the individual should be released or remanded in custody, for additional investigation or to await trial. If there is no lawful basis for continuing the detention, the judge must order release -- in this respect the hearing required under paragraph 3 also performs the function of proceedings under paragraph 4. If additional investigation or trial is justified, the judge must decide whether the individual should be released pending further proceedings because detention is not necessary, an issue addressed more fully by the second sentence of paragraph 3. In the view of the Committee, detention on remand should not involve a return to police custody, but rather to a separate facility under different authority, because continuing custody in the hands of the police creates too great a risk of ill-treatment. 逮捕後すみやかに裁判官面前に引致して、身柄拘束について裁判官が決定するが、その後、警察留置場に連れ戻してはいけないという当たり前のことである。なお、最後のbecause以下は若干修正されたが、ちゃんとメモをしていないので、ここに紹介できない。