Thursday, October 31, 2013
人権委員会一般的意見35号審議(2)
31日午前、人権委員会(HRC、国際自由権規約委員会)は、一般的意見35号の審議だった(CCPR/C/107/R.3)。前回の継続で、5章「不法又は恣意的拘禁からの釈放手続きの権利」の訂正条文草案の審議と、7章規約9条とその他の条文との関係」の審議だった。報告者のニューマン委員が順次説明し、他の委員が質問や意見。ほとんどシャニィ委員、ブジ委員、ファタール委員、ケーリン委員が発言した。マジョディ委員も時々。大半の委員は発言なし。どうでもいいことを一言発言するくらい。これでいいのかと思うが、「人身の自由と安全」で、基本的に刑事手続きに関する議論なので、刑事法専攻でない委員はあまり発言しないのだろう。拘禁の際の裁判官面前引致の議論の途中で、裁判所courtとは何かをめぐる議論が少々紛糾した。ニューマン委員が、自分は独自のcourt概念には関心ない、あくまでも自由権規約9条のcourtを念頭に置いているとして、当たり前のことを述べていたが、議論では、拘禁命令権限を有するのがcourtなのか、それとも被拘禁者がアピールしうるのがcourtなのか、という形になり、tribunalはいつcourtになるのかと言っていた。ちょっと理解できず、議論についていけなかった。軍事法廷その他各種の法廷を念頭に置いての議論だろうが、結局、ニューマン委員が粘って説得して、規約9条を前提とした議論に戻った。おもしろかったのは、パラグラフ58の議論で、規約9条と規約6条(生命権)との関連について、ニューマン委員がoverlapという表現をした。「9条と6条の射程範囲が重複する」という意味だと思っていた。ところが、いろんな意見が出たすえ、スペインの委員が「スペイン語にはそれに対応する言葉がない」と言い出し、スペイン語で適切な言葉を示していた。他の委員が「それはcollateralだろう」と言うと、ニューマン委員も「私もcollateralならすっきりする」と言った。実に興味深く、かつ悩ましい対話だった。日本語で「重複」と考えていたが、途中で「競合」か「連合」かなと思ったが、collateralと言われると「付随的って、どいうことだ」と悩んでしまう。各言語における言葉のイメージの差異を痛感させられた。審議は結局、パラグラフ58で時間切れとなった。残り59~71は来年3月の会期になる。議長は、できれば3月会期でまとめたいと言っていた。