古賀光生「欧州における右翼ポピュリスト政党の台頭」山崎望編『奇妙なナショナリズムの時代』
古賀は、欧州において右翼ポピュリスト政党が台頭した原因を検討し、排外的ナショナリズムの国際比較を行っている。フランスの国民戦線やオーストリアの自由党はよく知られるが、こうした「極右」とは別に、デンマーク国民党、オランダ自由党など右翼ポピュリスト政党の議会進出が目立つと言う。その前提条件として社会・経済的な構造の変化があり、移民排斥の主張など、人々の認識への働きかけがなされている。既成政党との差別化による動員戦略を分析し、ポピュリズムの政治争点化が起きているとする。古賀は、グローバル化に伴う経済構造の転換は欧州と日本に共通だが、西欧では排外主義が政党として公的空間で一定の存在を示している点で日本とは異なると言い、排外主義の高まりを市民社会と政治の関係性からも検討するべきと言う。