塩原良和「制度化されたナショナリズム」山崎望編『奇妙なナショナリズムの時代』
塩原は、オーストラリアの多文化主義の歴史的変遷を追跡する。公定の多文化主義に対する批判的多文化主義、その後のリベラルな多文化主義、福祉多文化主義、ネオリベラル多文化主義の論理を分析する。「公定多文化主義における新自由主義の影響力が増大スルニツレテ、エスニック・マイノリティの社会的包摂・社会的結束を進めようとするリベラルな福祉多文化主義は後退を余儀なくされていった」という。仮構された「国益」が貫徹されることになる。塩原はさらに時代錯誤の「ゾンビ・ナショナリズム」と言うユニークな表現を紹介している。文脈は異なるが、日本にもゾンビ・ナショナリズムがあると、勝手に流用したくなる。