初沢亜利『沖縄のことを教えてください』(赤々舎)
大判の写真集である。176頁に約150枚の写真。表紙には沖縄の夜空――渡嘉敷島から沖縄本島を臨む一枚だが、一部オレンジ色に染まる空は米軍基地内の低圧ナトリウムランプの灯である。沖縄に対する意識的差別や構造的差別を考え直し、問い返し、こだわりながらも、本土側からの写真家として、初沢は一年間、沖縄に滞在し、各地を回りながら撮影を続けた。
北谷町の回転寿司屋、アラハビーチ、名護市の豊年祭、高校野球決勝戦、辺野古漁港の休日から、辺野古新基地建設反対の県民大会の「屈しない」に至る写真は、沖縄を映し出しつつ、初沢自身を写している。ファインダーの向こうとこちら側の距離を一枚一枚確かめながら、手さぐりしながら、沖縄からの視線に貫かれる写真家。そのことを自覚しながら、押し続けたであろうシャッター。
「日本にとって沖縄とはなにか?沖縄にとって日本とはなにか?」。最初から明らかであるにもかかわらず、答えを出せないこの問いを、問い続けることの中で自らを鍛え直す写真家が、ここにいる。