Monday, May 08, 2017

『アジア現代女性史』11号(2017年)

『アジア現代女性史』11号(アジア現代女性史研究会、2017年)
特集は「WIDF調査団に参加したヨーロッパの女性――レジスタンスから朝鮮戦争停戦運動へ」で、次の4本の論考・資料が収録されている。
ケイト・フレロン・ヤコプスン――デンマークのレジスタンスから国際平和運動へ/藤目ゆき
ケイト・フレロン・ヤコプスンの著作と資料
『ノイエス・ドイチュラント』紙のリリー・ヴェヒター関連記事に寄せて/木戸衛一
朝鮮戦争調査直前のジレット・ジーグレル――『私はP.S.F.にいた』/松田祐子
WIDFとは国際民主女性連盟で、朝鮮戦争のさなかに現地調査を行い、報告書を公表した。
藤目ゆき編『国連軍の犯罪』参照
ケイト・フレロン・ヤコプスンはデンマークの著名な女性ジャーナリストで、ナチス・ドイツに対するレジスタンスに起源をもつ雑誌『自由デンマーク』の編集者である。レジスタンスの闘志としてゲシュタポに逮捕され収監され、フレスリウ収容所に収容された。45年4月に解放された。朝鮮での戦争実態の調査活動や、その後の人生も紹介されている。
リリー・ヴェヒターはドイツの女性平和活動家で、ナチス時代に家族3人を強制収容所で失った。朝鮮戦争の実態調査に加わったことで、ドイツで犯罪者として処罰・弾圧されたという。
ジレット・ジーグレルはフランスのジャーナリスト・作家であり、多くの推理小説を書いている。やはり朝鮮戦争の調査団に参加した。『私はP.S.F.にいた』はレジスタンスの経験をもとにした小説である。

アジア現代女性史研究会
大阪大学人間科学研究科 藤目研究室気付