バーレーンがCERDに提出した報告書(CERD/C/BHR/8-14. 11 June 2019)
憲法は私権とその行使を人種や性の区別なしに保障し、信仰の自由の原則を採用している。憲法第18条は「人々は人間の尊厳の尊重において平等であり、公的な権利と義務において市民は法の前に平等である。性、言語、宗教又は信条に基づいて差別してはならない」とする。
刑法第172条は共同体間の憎悪や侮蔑の煽動を、刑法第309条は宗教宗派の公然中傷や侮辱を犯罪とする。刑法第310条は、承認された宗教の意味を改ざんし、その原則を貶める書物を印刷出版すること、教授すること、宗教シンボルを侮辱すること、宗教儀式を嘲笑する意図をもって嘲ることを犯罪とし、刑法第311条は故意に宗教儀式を妨害し、宗教行事の実行のための建築や宗教シンボルを損壊、摩耗又は汚すことを犯罪とする。
ハマド国王の平和的共存グローバルセンターが設置されており、文明と文化の価値観の共有、寛容の文化、平和的共存を目指している。新しい啓蒙運動として道徳的価値と人権の価値を基礎に、暴力や憎悪を導く過激主義イデオロギーと闘い、多元主義を推進している。
2002年の印刷・出版に関する法令第47号は、表現の自由を保障しつつ、宗教を中傷する出版物を犯罪化する。2006年のテロリズムから社会を保護する法令第58号は、宗教に対する犯罪がテロ活動の過程で行われた場合に刑罰を加重する。刑法第75条は、民族、宗教、性別、又は皮膚の色を根拠に差別的動機で犯罪が行われた場合に刑罰加重事由とする。
2015年、公共情報省はバーレーン・ジャーナリスト協会と協力して、プレス行動綱領を策定し、人種的優越性、人種憎悪、煽動を助長する報道を行わないことを掲げた。
情報省は、最近のグローバルな発展に対応して、人種差別や憎悪を刑罰加重事由とするプレスと電子メディアに関する法案を作成中である。
2015~17年、59のワークショップを開催し、主にメディア関係者ら461人が参加した。差別唱道、憎悪煽動、その助長について55の書物と出版物の捜査と没収が行われた。3つの地方新聞に対して法に従うよう求める7つの警告を発した。
法令の適用状況、裁判事例は不明である。
バーレーンの審査は2020年8月予定だったが新型コロナのため延期となった。