Friday, October 29, 2021

ナチス賛美との闘い――ホロコースト否定犯罪を考える04

19 メキシコ

人種差別撤廃条約第4条に従って、「差別予防・撤廃連邦法」を制定した。公共機関、私的セクター、市民社会団体と協力してヘイト・スピーチの予防と根絶を促進し、差別行為について救済、補償、警告、公的謝罪、再発防止の行政措置をとっている。

差別の消極的影響に対処するために教育と啓発に取り組んでいる。「差別予防委員会」は移住者機関による差別防止を目的として、人種プロファイル予防のための行動ガイドを作成した。201819年、社会的偏見、ヘイト・スピーチ、差別に対処する啓発キャンペーンを行い、「ノー・ヘイト運動」に取り組んだ。2020年、ヘイト・スピーチに反対する取り組みとして「私たちにはできるWe can !」というガイドブックを作成した。

新型コロナによりヘイト・スピーチと排外主義が強まっている。「平等と非差別国家計画201924」は公的セクターと市民社会における差別なき人権促進を目的としている。差別予防委員会は、宗教の多様性に関するさf行部会を設置し、ホロコーストの記憶を促進し、反ユダヤ主義と闘う教育に関するワークショップを行っている。

20 ナミビア

過激主義集団や人種主義イデオロギーを助長しようとする運動の新しい現象は見られない。憲法第10条は平等と非差別の権利を、第23条は人種差別とアパルトヘイト・イデオロギーを禁止する。1991年の「人種差別禁止法」はこれらを犯罪とする。

2014年の選挙法は正当とその活動を規制する。選挙法第135条は人種及び皮膚の色を根拠に分断を惹き起こす目的の政党の創設を禁止する。登録済の政党は、人種、民族的出身、皮膚の色を基に構成員を限定するような政治活動を禁止されている。政府は人種主義と闘う政策と立法措置に関与している。2018年の「廃れた法の廃止法」はアパルトヘイト時代の法律で、人種、性別、民族的出身、皮膚の色、経済状態を根拠に差別する法律を廃止する。

21 オランダ

人種、宗教、信念に基づいて人の集団に対して侮辱する言説及び憎悪、差別、暴力の扇動は刑法で処罰できる犯罪である。最高裁の判例法理では反ユダヤ主義とホロコーストの否定もこれに含まれる。

20181127日、議会は、国際ホロコースト記憶連合の反ユダヤ主義の作業定義を法的拘束力のない定義として承認した。裁判官は表現の自由の境界と制限の範囲で判断を下す。

内務省と検察庁は反ユダヤ主義に関する調整担当を設置し、反ユダヤ主義犯罪などヘイト・クライムの刑事訴追の調整を行うことにした。議会は、差別、人種主義、反ユダヤ主義と闘う朝鮮っ担当を設置するよう政府に呼び掛けていた。

各地の反差別部局と警察は反ユダヤ主義など差別問題に関する統計を含む年次報告書を出版した。検察局も報告書を出している。民間団体の「イスラエル情報・文書センター」が関連情報を収集・報告している。

22 ニジェール

ネオナチやスキンヘッド集団、過激主義政党・運動、人種主義イデオロギー集団は存在しない。過激主義、不寛容、排外主義を予防する法的枠組みとして、憲法第4条と刑法第102条があり、人種又は民族差別、地域主義プロパガンダ、両親や信仰の自由に反対する現象を犯罪としている。19843月の命令8406号第2条は、地域主義団体又は民族団体を禁止する。199912月の命令9959号は、政党に他者の尊厳と名誉を尊重し、侮辱を禁止するよう求めている。

23 ノルウェー

住民は宗教的マイノリティに肯定的な姿勢を持っているが、マイノリティ集団は人種主義や差別を体験している。政府は人種主義や宗教的差別と闘う対処をしている。ムスリムに対する偏見、敵意、否定的姿勢が問題となってきた。右翼過激主義の数が増えてきたので、ムスリムに対する差別と憎悪に反対する行動計画を策定した。反ユダヤ主義も社会に今なお存在する。202123年の反ユダヤ主義に反対する行動計画も策定している。

2017年、包括的な「平等・反差別法」を採択し、「平等・反差別オンブズ」が活動している。過激主義に反対する行動計画を強化している。2021年、警察にヘイト・クライム専門部局を設置した。

24 カタール

人種主義や差別的慣行を禁止する憲法と法律があり、1979年の出版に関する法律第8号が、社会のける不和を拡散し、宗派主義、人種的紛争、宗教紛争を煽動する出版を禁止する。1992年の情報文化大臣・決定第11号第2条は、検閲の基礎とルールを定め、人種又は民族集団を嘲笑する文書や放送の許可を与えないとする。2004年の刑法は、宗教を侮辱し、神や予言者を侮辱し、宗教目的の建築物を破壊する行為を犯罪とする。