25 モルドヴァ
2018~22年の「人権行動計画」を策定した。偏見による犯罪についてゼロトレランス政策をとり、現在、議会でヘイト・クライムとホロコースト否定に関する法改正を審議中である。法案作成に当たっては内外の専門家と協議してきた。欧州安全協力機構の民主性と人権事務所等との協議も経ている。
刑法改正法と、表現の自由に関する2010年の法律64号は、人種主義、排外主義、ファシズムのような全体主義イデオロギー及びホロコースト否定を拡散する犯罪についての刑事責任を定立している。2021年2月4日、改正案は議会の第一読会で採択された。
EU及び欧州評議会の差別、ヘイト・クライム、ヘイト・スピーチの被害者救済プロジェクトを実施している。非差別と平等の研修に1900名の警察官と625人の検察官が参加した。
ホロコーストの記憶と寛容の文化を促進する行動計画2021~24年を採択した。「差別撤廃・平等促進委員会」が活動している。
26 ロシア
ナチス、国民主義、人種主義、宗教的不寛容と闘うことは法執行機関の職務である。人種的国民主義に基づく優越性の思想や理論に基づく団体の宣伝や活動を非難し、憎悪や差別の煽動を根絶する措置を講じている。憲法第19条は平等の原則を定め、第13条は人種憎悪の煽動を目的とする活動を禁止する。過激活動に反対する連邦法が枠組みを定めている。
国民国家政策戦略は2025年まで延長された。人種的、国民的、宗教的憎悪の煽動を予防し抑止する。過激主義と排外主義の思想の流布にゼロトレランスを促進する。民族間紛争に応じた早期警報の法的枠組みを推進する。国民主義思想の復活やナチス思想の再来を予防する。
ナチスのシンボル、プロパガンダ、ナチスに協力した団体のシンボルの利用や公共掲示を禁止している。ナチスを賛美する記念碑建設や通りに命名するようなナチス賛美を公人が行うことは強く非難される。民族間、宗教観の寛容を促進する出版物はインターネット上で出版される。ナチスの復活に関する事案は捜査対象である。
27 セネガル
差別と闘う法的枠組み、特に刑法第166bis条がある。人種に基づく人の集団への侮辱、人種的優越性の出版は犯罪化されている。不寛容行為を処罰する。人種主義と排外主義と闘うため、規制法は新しい情報技術にも適用される。訴追は、適切な財源の欠如に、国際協力の困難性から、壁に直面している。
28 セルビア
憲法第5条と第55条は憲法秩序を暴力的に転覆しようとする政党、人権侵害をする政党、又は人種、国民、宗教的憎悪を煽動する政党を禁止する。「政党法」の施行以来、実際に手続きが取られたことはない。
人種主義、人種差別、排外主義、不寛容のイデオロギーを表明する集団や運動がある。その活動は現在、インターネット上で行われている。マイノリティの人権を保護し、差別及びヘイト・スピーチと闘う戦略的法枠組みがある。ヘイト・スピーチを特別な犯罪とはしていないが、現行法枠組みによって効果的な訴追ができる。2018年初頭以来、ヘイト・スピーチをも射程に入れた法規定の適用に向けて努力している。スポーツにおけるヘイト・スピーチと差別と闘う措置を講じている。
ロマに対する差別と闘う措置と行動をとっている。「ヘイト・スピーチ、寛容、及びロマ」というテーマで社会的対話を行い、差別と闘っている。
オンライン・プラットフォームの人種主義ヘイト・スピーチと闘うため、欧州サイバー犯罪条約、及びコンピュータシステムを通じた人種主義的性質の行為を犯罪化する選択議定書を批准した。サイバー犯罪担当特別検察官を任命し、インターネット上のヘイト・スピーチに対処している。2019年7月、文化情報省はEUベルグラード事務所と協力して、欧州評議会のハンドブック「欧州人権条約の下での表現の自由の権利の保護」のセルビア語版を出版した。ハンドブックは暴力、ヘイト・スピーチ、人種主義と闘うことに注意を向けている。
2020年、国際ホロコースト記憶連合の反ユダヤ主義の作業定義を採択した。2020年2月24日、ナチス強制収容所の犠牲シャンお記憶を保持するための記憶センターに関する法律を採択した。
29 スペイン
刑法第510条1項は、人種的理由で、反ユダヤ主義的理由、イデオロギー、宗教、信念、家族状況に関連する理由による、ヘイト・スピーチと闘う予防措置として差別を犯罪化している。インターネット上のヘイト・スピーチも禁止する。
立法は、ネオナチや同様の集団など人種主義や排外主義の過激主義集団と闘う。刑法第515条に含まれる違法な結社の定義は「そのイデオロギー、宗教又は信念ゆえに人又は人の集団に対して、直接または間接に、憎悪、敵意、差別又は暴力を助長又は煽動する」としている。議会は包括的な立法提案を検討中で、反差別法の基本決定とその保障を規制しようとしている。2002年6月27日の組織法第9条2項に従って、イデオロギー、宗教又は信念ゆえに人々を排除又は迫害する政党は違法とされる。
人種主義、排外主義、不寛容と闘うために、「人種民族差別撤廃委員会」を設置し、ヘイト・クライムと闘う行動計画を採択し、ヘイト・クライム年次報告書を出版した。
30 スウェーデン
暴力的な右翼過激主義が増大している。排外主義的人種主義的ナショナリズムが特にインターネット上で増加している。
2016年、人種主義、同様の敵意、ヘイト・クライムと闘う国家計画を採択した。人種主義やヘイト・クライムと闘う幅広い戦線が必要であり、アフリカ嫌悪、反ジプシー、反ユダヤ主義、イスラム嫌悪、サーミ人に対する人種主義のような人種主義と闘う必要がある。2020年以来、5つの戦略を掲げている。知識の普及、教育課程。調整と監視。市民社会の支援と対話。オンラインの予防措置。より効果的な立法。
「犯罪防止委員会」は反ユダヤ主義ヘイト・クライムの研究を深め、イスラム嫌悪やアフリカ嫌悪に基づくヘイト・クライムに対処している。
2020年末、「子どものためのオンブズマン」は人種主義の被害を受けやすい子供や青年についての情報を収集している。2019年、人種主義団体への参加についての刑事責任と人種主義団体の禁止に関する検討のため委員会を設置し、委員会は2021年4月に報告書を出した。