J 否定的宗教ステレオタイプや宗教的憎悪と闘う必要性の理解
これまでに報告した48か国が、否定的宗教ステレオタイプや宗教的憎悪と闘う行動をとった。
コスタリカによると、宗教的不寛容や差別に対する闘いは不寛容の一般的政策の枠内で行われた。
イタリアによると、反差別事務局が宗教的理由による差別現象に対処してきた。2016年、反差別事務局はメディア・インタネット監督官を置き、ソーシャル・ネットワークやメディアの差別を監視している。イタリアはホロコーストの記憶を啓発し、毎年1月27日のホロコースト被害者の記憶国際デーを記念している。
バーレーンは、2017年9月3日、寛容の精神の「バーレーン王国宣言」を発した。2018年11月、ローマ大学で「信仰の対話と平和共存」に着手した。2019年3月、市民の価値増進行動計画を採択した。国内人権機関は学校教育課程に市民の価値と人権を導入する改革をした。
ラトヴィアによると、2018~19年、人権、寛容、宗教の多元性を普通教育課程に導入した。
メキシコは、2019年に宗教的多元性の尊重と寛容の国家計画を採択し、2019年9月、国際平和デーの行事を行った。
パキスタンは、教育課程委員会が、寛容、人権、民主主義のための教育改革を行った。
ボリビアは、教育省が宗教時の自由の尊重促進に責任を有する。教育課程では、価値、スピリチュアル、宗教は世界的視野で教えることとし、先住民族のスピリチュアルの理解を図っている。
トルコによると、教育課程は非差別と統合の基本価値を教育するように改革している。
K 開かれた、建設的な、責任ある討論
メキシコは相互尊重の文化を促進するため宗教間対話の重要性を認識して宗教的多元性の尊重と促進の国内計画を策定した。
カタールによると、ドーハ宗教間対話国際センターが宗教間・文化間対話を進めている。対話と寛容の文化を促進するためにイニシアティヴ、ラウンドテーブル、フォーラム、ラジオ放送を行っている。
スロヴェニアは、文化省宗教共同体事務所が会議、会合を通じて宗教間対話を進めている。
L 公的諸機関が差別をしないための効果的措置
2012年以来報告してきた26か国がこの点で措置を講じた。
キューバ刑法294条は宗教時の自由に対する犯罪について刑罰を加重した。
イタリアは、人権保護と差別予防に関する研修を警察職員に行い、警察学校の教官にも研修している。
ボリビアによれば、人種主義・差別撤廃法は公的機関による差別犯罪を定義し、公務員には差別犯罪を報告する義務を課した。人種主義動機による口頭言葉による攻撃を含む犯罪、人種主義的差別的理由による行政サービス否定、人種主義・差別理由による性的虐待を犯罪とした。
ポーランドは、2019~20年、司法研修所が刑事手続きにおける文化的多様性のための研修を実施した。裁判官と検察官は国際的な反差別研修に参加できる。
メキシコによれば、宗教問題監督官は宗教的多様性と平和の文化促進のために、国家レベルでも地域レベルでも働いている。
ロシア刑法は、公務員による宗教的理由に基づく差別行為を犯罪とし、行政犯罪刑法は刑事犯罪にはあたらない差別行為について公務員の行政責任を定める。
トルコは、オンブズマンが差別予防原則に従って公的機関を監視している。
M 宗教的自由と多元主義の促進
コスタリカは、ローマ・カトリックを国教としているが、その他の礼拝の自由を保障する。すべての宗教団体が登録している。
キューバによれば、1850の宗教団体が司法省に登録しており、これには教会やアフリカ系住民のスピリチュアル運動も含まれる。
バーレーン憲法は思想、意見、宗教の自由を保障する。スンニ派モスクが452、ジャファリ派モスクが609、教会が19ある。宗教施設の維持を保障する責任は司法省にある。国家人権委員会は宗教時の自由や宗教施設の自由を侵害した事件について管轄する。人権委員会は2019~20年に拘禁センターを14回訪問調査し、収容者の宗教の自由を確保している。
ボリビアは、2019年に「宗教の自由、宗教団体、スピリチュアル信仰法」を制定し、多元主義、法的平等、非差別を原則としている。宗教団体は外務省に登録している。
ラトヴィアは、2018年の憲法裁判所判決に従って、宗教団体の登録制を無効とした。
メキシコは、宗教の多様性と寛容と尊重の国家戦略を定め、多元主義と宗教の自由を考慮している。
ポーランドによれば、宗教的理由による差別行為を犯罪とし、良心と宗教の自由を保障している。
スロヴェニア憲法は、宗教の自由と宗教団体の平等を保障する。宗教自由法は、宗教団体が法人格を手に入れるための登録制を規制する。人権オンブズマン、宗教団体平等原則擁護者、文化省が宗教の自由と差別問題を管轄する。
トルコは、ムスリムでないトルコ市民が自己の宗教を信仰でき、宗教儀式、財産管理ができるとしている。
ロシア刑法は、宗教団体の活動の違法な妨害、宗教行事の実施の違法な妨害について刑事責任を定める。行政犯罪法は宗教の自由や宗教団体に関する違反事件の行政責任を定める。