Tuesday, December 28, 2021

ヘイト・スピーチ禁止法(202)チリ

新型コロナのため、人種差別撤廃委員会の国別報告書審査が何度か延期になっていた。5月にデンマーク報告書の概要を紹介して以後、紹介も中断していた。審査が再開されているので、徐々に紹介していきたい。

ヘイト・スピーチ禁止法(201)デンマーク

https://maeda-akira.blogspot.com/2021/05/blog-post_23.html

チリ政府がCERDに提出した報告書(CERD/C/CHL/22-23. 14 September 2018

20177月、議員集団が憎悪又は暴力の煽動犯罪に関する刑法改正案を提出した。新刑法147bisは、人種、民族的出身、性別、性的指向、ジェンダー・アイデンティティ又は国籍に基づく人に対する憎悪又は暴力の煽動を犯罪化する。法案は、国会の憲法・立法・司法委員会で審議中である。

201711月、政府は暴力の煽動を犯罪化する3ヶ条の刑法改正法案を国家に提出した。国会の人権・先住民族委員会で審議中である。

奉安は前の法案を引き継ぎ、国民的又は民族的アイデンティティ、性別、人種に基づくヘイト・スピーチについて刑事制裁を提案している。公務員が職務として行った場合には、平等原則違反であり、刑罰加重事由となる。

CERDがチリに出した勧告(CERD/C/CHL/CO/22-23. 9 December 2021

移住者やマイノリティに向けられた排外主義やヘイト・スピーチを予防するための措置についての情報が報告されていない。条約第4条に合致した国内法がなく、人種的優越性、憎悪に基づく思想の流布、人種差別の煽動、人種動機の暴力、人種差別煽動団体への参加を犯罪として処罰する法律がない。ヘイト・スピーチ、移住者の排斥・拒否、移住者への暴力の報告が増えている。

CERDは次の勧告をした。CERD一般的勧告第35号に照らして、条約第4条のもとでの義務を履行すること。条約第4条に完全に合致した法律を制定する。ヘイト・スピーチと人種差別の煽動に関する審議中の法案を至急可決し、履行する。次回報告書で、ヘイト・スピーチに関する捜査・刑事手続き・判決についての情報を報告する。移住者に対する排外主義や差別的ステレオタイプと闘う措置を講じる。特に公務員による差別行為に、迅速かつ例外なく刑罰を科す。