Sunday, December 05, 2021

フェミサイドの現状03

2 親密なパートナー又は家族メンバーによる女性殺害の絶対数 

国連麻薬犯罪事務所の調査報告書の概要紹介を続ける。

2020年、世界で47,000人の女性・少女親密なパートナー又は家族メンバー(父親、母親、叔父、兄弟等)によって殺害された。アジアで18,600人、アフリカで18,100人、南北アメリカで7,300人、欧州で2,600人、オセアニアで300人である(これは推定値で、アジアで言えば15,10021,000の間)。アジアはもっとも人口が多いので、女性殺害の多さは驚くべきことではない。

 

3 親密なパートナー又は家族メンバーによる女性殺害の比率 

比較という観点では、、被害者の絶対数よりも、女性人口10万人当たりの被害者数を見ることが重要である。女性が家族の誰かに殺される現実のリスクを知るには、絶対数よりも被害化率のほうが良い。

2020年、世界では10万人当たり1.2人の女性・少女が親密なパートナー又は家族メンバーに殺害された。絶対数ではアジアが最大だが、比率ではアフリカがもっともリスクが高い。2020年、アフリカでは10万人当たり2.7、オセアニアは1.6、南北アメリカは1.4、アジアは0.8、欧州は0.7である。

 

4 親密なパートナー又は家族メンバーによる女性殺害の傾向 

過去の傾向を示すのに十分なデータの得られた地域(南北アメリカ、欧州)では実質的な傾向を見ることができる。国によって増加したり減少したりしているが、長期的に見ると傾向は安定している。

報告書には、欧州、東欧、南欧、南米、中米、北米ごとに、2010年から2020年までの10年間の傾向がグラフ(棒グラフ及び折れ線グラフ)で掲載されている。

 

5 私的領域で行われる殺害は女性に不均衡な影響を与える。 

全体のおよそ80%、2020年に世界でのすべての殺害の被害者の大多数は男性・少年であるが、男女比は顕著に文脈に依存する。公的領域での殺人被害者数では女性・少女は10人に1人にすぎないが、家庭における致死暴力の被害は不均衡に女性に起きる。親密なパートナー又は家族メンバーによる殺害の被害者の58%が女性・少女である。つまり、女性にとってもっとも危険な場所は自宅である。対照的に、男性が親密なパートナー又は家族メンバーによって殺害されるのは10%である。男性・少年にとって危険な場所は家族領域の外にある。

被害者化のジェンダー比率は地域によって異なる。例えば、欧州では女性は17%、オセアニアでは22%、アフリカでは9%、南北アメリカでは7%、アジアでは16%である。

 

6 女性・少女による親密なパートナー殺害の負担 

親密なパートナーによる殺害は自宅内における信頼の究極的違反である。直接の被害者を超えるような帰結をもたらす。例えば、生き延びた子孫は片親を殺されただけでなく、片親が監獄に入ることになり、結果として親のいる自宅を離れざるを得なくなる。

女性の親密なパートナーの殺害の最大数は、現在または前の親密なパートナーによる。平均すると女性・少女は親密なパートナー殺害の被害者の68%に及ぶ。

*このあたりで、報告書はkillinghomicideを使い分けているが、適切に翻訳できていない。