見えない天使の助け(第8章 戦利品)
中田考監修『日亜対訳クルアーン』(作品社、2014年)
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第8章はバドルの戦いの戦利品を中心に、勝利に導いたアッラーの御業を説く。
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真理を真理となし、虚偽を虚偽となし給うために。そしてたとえ、罪人たちが嫌おうとも。(8:8)
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おまえたちがおまえたちの主に助けを求めた時のこと。彼はおまえたちに答え給うた、「われは列をなす千の天使たちでおまえたちを増強する者である」。(8:9)
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アッラーと彼の使徒に従え。論争し、怖気づいておまえたちの威風が消え去るようなことがあってはならない。そして忍耐せよ。まことにアッラーは忍耐する者と共におわします。(8:46)
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第8章で説かれる戦いには、論争もあれば実際の戦争・戦闘もある。戦利品についても違法な戦利品と合法な戦利品があるという前提で、戦利品のうち合法なものを手にせよと説いている。このあたりがよくわからないが、戦利品として想定されているのは動産のようだ。クルアーン作成当時の中東地域では、戦争による領土獲得という発想はあまり強くなかったのだろうか。