Sunday, December 23, 2012

若松丈太郎『福島核災棄民―町がメルトダウンしてしまった』


若松丈太郎『福島核災棄民―町がメルトダウンしてしまった』(コールサック社、2012年)


 

福島の思想詩人による慟哭の書である。

 

前著『福島原発難民』に続く詩文集に、加藤登紀子がうたう「神隠しされた街」のCDがついている。小高町、半径20キロの境界、堤防が消えた海岸の写真も。

 

静かに、ゆっくりと、読もう。

泣かずに、声を出して、読もう。

無念でも、悲しくても、怖くても。

前を向き、遠くを見ながら、読もう。

 

「神隠しされた街」の最後の5行だけ引用しておこう。

 

「私たちの神隠しはきょうかもしれない

うしろで子どもの声がした気がする

ふりむいてもだれもいない

なにかが背筋をぞくっと襲う

広場にひとり立ちつくす」

 

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【目次】

一章 町がメルトダウンしてしまった  
町がメルトダウンしてしまった 
原発難民ノート2 二〇一一年三月十五日から四月三十日まで 

二章 キエフ モスクワ 一九九四年
キエフ モスクワ 一九九四年  

三章 福島核災棄民
福島から見える大飯  
広島で。〈核災地〉福島、から。  

四章 戦後民主主義について
始まり? 終わり?  
年の暮れに  
責任を問い糾すこと  
生きるための決断  
教科書を介しての出会い  
戦後民主主義について 〈核災〉との関連から  

五章 ここから踏みだすためには
生きる力を得るために  
福島からの思い  『命が危ない 311人詩集』を読んで  
ここから踏みだすためには  『脱原発・自然エネルギー 218人詩集』を読んで  
〈核災地〉福島の、いま。  

六章 海辺からのたより
海辺からのたより 二  
記憶と想像  

解説 南相馬市で脱原発の論理的根拠を思索する人  鈴木 比佐雄  
あとがき  
略 歴   
付属CD「神隠しされた街」歌詞