Tuesday, May 28, 2013

侵略の定義について(9)

国際司法裁判所(ICJ)は、国連憲章第92条に基づく国連の主要な司法機関である。ICJは、国連総会、安保理事会、その他の国連機関などの要請に応じて法律問題についての勧告的意見を出す権限を有する。また、ICJ規程第36条に従って国家間の法的紛争について決定を下す。ICJでは、侵略の認定や紛争解決の権限について議論がなされた。というのも、安保理事会と国連総会の役割分担が重なっている可能性があったからである。国連憲章の解釈として国連機関のいずれが権限を有するかと言う問題である。詳細は省略。                                                                具体的な法的紛争としては、ニカラグア事件が有名である。ニカラグアは、アメリカが国連憲章第2条第4項の武力行使や威嚇の禁止に違反し、慣習国際法のもとでの責務に違反し、陸海空軍の攻撃によってニカラグアの主権を侵害したと主張した。アメリカは、ICJには管轄権がないと主張しつつ、自衛権を正当化根拠とした。ニカラグアはアメリカが侵略を行ったとまでは主張していなかった。しかし、ICJは『侵略の定義』を参照したうえで、国連憲章第2条第4項における武力行使の禁止について検討し、武力行使のもっとも重大な形態とその他の形態を区別するために国際法の検討を行った結果、『侵略の定義』第3条(g)にいう行為の記述は慣習国際法に反映されているとした。ICJは、慣習法においては、武力攻撃の禁止は、軍事行動がその規模や帰結において単なる国境紛争ではなく武力攻撃として特徴付けられるようなものであれば、ある国家が他国の領土に軍隊を送ることにもあてはまることを否定する理由はないとした。 ここで重要なタームが慣習国際法である。慣習国際法としての侵略の禁止について検討する必要が出てくる。この点は後日。                                                                             以上のように、国連安保理事会、総会、ICJなどで侵略の認定が行なわれ、その積み重ねの中で侵略の定義が確認されてきた。