Thursday, May 23, 2013

ヘイト・クライム禁止法(17)

ウクライナ政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/UKR/19-21. 23 September 2010)によると、印刷メディア法第3条、テレヴィ・ラジオ放送法第2条、情報法第46条に、人種、民族又は宗教的憎悪を煽動するためにメディアを利用することを禁止する規定がある。                                                                   刑法第161条は、人種、民族、宗教に基づく市民の平等権侵害を犯罪としている。第161条1項によると、民族的、人種的又は宗教的敵意又は憎悪を煽動する目的、市民の宗教的信念と結びついて名誉と尊厳を引き下げ又は攻撃を惹き起こす目的を持った故意の行為、及び、人種、皮膚の色、政治的、宗教的又はその他の信念、性、民族的又は社会的出身、財産状態、居住地、言語又はその他の特徴に基づいて市民の権利を直接又は間接に制限すること、又は市民に直接又は間接の特権を与えることは、最低収入総額の50倍以下の罰金、又は2年以下の期間一定職務に就任する権利や一定の活動を行う権利の剥奪に処する、とされている。刑法第161条2項によると、上記の行為に暴力、詐欺又は脅迫が伴ったり、それが公務員によって行われた場合、2年以下の期間の懲罰的所得控除、又は5年以下の期間の自由剥奪に処する、とされている。両項に掲げられた行為が組織集団によって行われた場合、又は人の死又は重大な結果を惹起した場合は、刑罰は2年以上5年以下の期間の自由を剥奪する、とされている。刑法第67条1項(3)によると、人種、民族又は宗教的敵意による攻撃動機があった場合は、刑罰加重事由とされている。2009年11月5日の刑法改正により、刑法第115条2項の殺人罪、第121条2項の重大傷害罪などについても処罰加重規定が追加されている。