Monday, May 27, 2013
ヘイト・スピーチ処罰実例(8)
エストニア政府が人種差別撤廃員会に提出した報告書(CERD/C/465/Add.1. 1.April 2005.)によると、報告書の対象時期で2004年7月までに、社会的憎悪の煽動に関連して公安警察によって捜査が行われた事件は1件だけであった。公安警察の任務は憲法秩序の保護である。公安警察は過激な運動や集団の違法活動を取り扱う任務を有している。NGO、マイノリティ集団の代表などによって、メディアや個人の言動の中で、国民、人種、宗教的憎悪が見られると指摘されている。公安警察は社会的憎悪の煽動や過激な運動について年次報告書を公表している。若者には、普通教育課程でこうした問題について教育が行われている。2003年6月17日、ナルヴァ市地裁判決は、スキンヘッド運動のメンバーであった複数の者が、国民的人種的憎悪を公然と行ったことで、刑事施設収容を言い渡した。刑法第134条及び第152条に関する刑事手続きがとられたことはない。2004年時点で、刑法第151条の社会的憎悪の煽動に関して3件の手続きがとられた。政府報告書執筆時点で、1件は裁判所の判断が下されたが、2件はまだ審理中であった。2004年秋、インターネットにおいて社会的憎悪の煽動を行ったとして起訴された人物の事例がある。捜査段階で、公安警察は、1995年から2003年までにインターネットで、国民的宗教的政治的信念に基づいた憎悪と暴力の公然たる煽動がなされた、と主張している。誰でも無制限にアクセスできるインターネット事例である。刑法第151条に基づいて起訴が行われたが、報告書時点では審理中である。