Monday, November 04, 2013

平和への権利作業部会・NGO意見交換

11月4日、ジュネーヴの国連欧州本部会議室において、国連人権理事会の平和への権利作業部会長・特別報告者主催で、NGOとの意見交換会が開催された。平和への権利作業部会長はコスタリカ政府大使である。平和への権利の審議は、2006年の人権理事会から活発化したが、特にスペイン国際人権法協会が精力的にロビー活動を展開し、これにスイスや日本のNGOが加わってきた。いまでは世界中のNGOが加わっている。2009年から2011年にかけて、国連人権理事会は、平和への権利宣言について専門家セミ内を開くことや、人権理事会諮問委員会で審議することを求めてきた。これに応じて、NGO、専門家(憲法、平和学、人権論)などの協力で多数のセミナーが開かれた。NGOの見解は、ルアルカ宣言、ビルバオ宣言などを経て、2010年のサンティアゴ宣言にまとめられた。人権理事会諮問委員会では2011~12年にかけて平和への権利国連宣言草案作りが進み、それが人権理事会に提出された。2012年の人権理事会決議によって、平和への権利作業部会が設置され、部会長・特別報告者にコスタリカ政府が選出された。2013年人権理事会に作業部会報告がなされた。こうした経過を受けての今回の意見交換であった。コスタリカ政府から6名(ダヴィド・フェルナンデスを含む)、NGOは25名ほどの参加だった。主な話題は、第一に、平和への権利の議論に多くのNGOが参加しているが、世界的に著名なNGOが参加していないことである。コスタリカ政府は、NGの圧倒的多数の支持を得て外交交渉を進めたいのだが、なぜか著名NGOが参加していない。いろんな意見が出たが、おおむね、拷問や失踪に取り組んでいるNGO、人身売買や子ども労働に取り組んでいるNGOなど、特定テーマに力を入れているNGOは平和への権利というテーマだと、わざわざ参加しない、あるいはNGO内の見解をまとめることがない、という推測であった。参加者は、みな平和への権利に関心を持ち、発言してきたNGO代表なので、参加していないNGOの内情はよくわからず、あくまでも推測である。また、世界をカバーしている著名NGOには各国政府から資金を得ているところもあり、アメリカやEUが反対している平和への権利には口を出さないようにしているのではないかとの発言もあった。ともあれ、今後もできるだけ多くのNGOからの意見を集約しようという話に落ち着くしかなかった。第二に、コンセンサスか投票か、である。これまで平和への権利に関する決議は、人権理事会で投票によって採択されてきた。おおむね30カ国余りが賛成、12~14か国ほどが反対である(人権理事会は47か国からなる)。作成された宣言草案を投票で採択することは可能である。人権理事会に次いで、国連総会に行っても賛成多数を取ることは可能である。しかし、現在の宣言草案については、アメリカ、EU、日本が猛反対をしている。アメリカ、EU(スペインを除く)、日本が反対のまま宣言をつくっても、その効果は薄れるのではないか。そうであれば、修正して歩み寄って、コンセンサス(全会一致)で採択した方が良いのではないか、である。このことは前から議論されてきたが、いよいよ具体的な問題となってきた。というのも、今後のスケジュールは、年内にコスタリカ政府が宣言草案を作成し、2014年2月に次の作業部会を行い、2014年6月の人権理事会に提出して採択し、同年秋・冬の国連総会で決着を図るという目標スケジュールになったからである。コスタリカ政府は、どうやら両案を作成しているようだが、これまでの議論の成果を網羅的に盛り込んだ豊かな内容の宣言草案と、アメリカやEUも反対しないように大幅に削除・訂正した宣言草案のどちらにするのか。NGOの間でも意見は分かれている。あまり譲歩し過ぎて、内容が貧弱な宣言ならば、つくらない方がいいという意見もある。アメリカやEUは、そもそも「平和は権利ではないから、平和編権利は認められない」と主張している。そこに歩み寄るということは、現在の草案の大半を削除することになる。アメリカやEUは、「基本的人権は個人の権利であり、集団の権利は認めない」とも主張している。おそらくコスタリカ政府が、今後さまざまなチャンネルを通じてアメリカやEUの様子をうかがいながら判断をしていくことになるだろう。今日の意見交換には、カルロス(スペイン国際人権法協会)、モノー(国際友和会)、ミコル(国際民主法律家協会)、デザヤス(ジュネーヴ外交国際関係大学教授)などが参加した。ダヴィドはもともとスペイン国際人権法協会事務局だが、いまはコスタリカ政府の法律アシスタントになっているので、政府側に座っていた。