Thursday, November 14, 2013
ヘイト・クライム禁止法(43)ポーランド
ポーランド政府がCERD75会期に提出した報告書(CERD/C/POL/19. 19 May 2008)によると、刑法256条及び257条は、国民、民族、人種及び宗教の差異、又はいかなる宗派に属さないことのために、公然と憎悪を煽動した者、その国民、民族、人種又は宗教関係ゆえに、又は、いかなる宗派に属さないことゆえに、住民の中の集団又は諸個人を公然と侮辱した者、又はそれらの理由で、他人の人間の尊厳を侵害した者は、訴追されるべきとしている。他方、刑法119条(1)(2)は、集団又は個人に対して暴力を用いたり、違法な脅迫をすること、そうした犯罪の実行を公然と煽動することを禁止している。2000~03年、人種主義的理由で行われた事件が刑事訴追されたのは35件であり、その内7件は裁判が終結し、28件は却下された。2004年、24件、2005年、29件。2004年には20件、2005年には37件が終結。刑法256条と257条について見ると、2000年には刑法256条違反の訴追は9人で、内6人について判決が出て、5人は刑事施設収容、1人は罰金。刑法257条違反の訴追は13人で、6人について判決が出て、4人が刑事施設収容、2人が罰金。2001年は、刑法256条について、訴追16人、判決16人、刑事施設収容10人、自由制限刑5人、罰金1人。刑法257条について、訴追9人、判決6人、刑事施設収容4人、自由制限刑1人、罰金1人。2002年は、刑法256条について、訴追7人、判決6人、刑事施設収容2人、罰金2人。刑法257条について、訴追8人、判決8人、刑事施設収容6人、罰金2人、等々。2004年11月以後、内務省の人種主義・外国人嫌悪監視チームが情報収集を行って、分析している。人種主義・外国人嫌悪に関する裁判の具体例として、次のものが掲げられている。(1)2004年5月31日、自宅のバルコニーにカギ十字を描いた赤旗を掲げて、国家をファシズム化することを公然と促進したことで被告人が訴追された。タルノフゼクTarnobrzeg地裁は、2004年8月23日判決で、刑法256条違反として12か月の自由制限刑及び40時間の社会奉仕命令を言い渡した。(2)2003年8月26日、被告人は、瓊浦257条違反で訴追された。アメリカ市民を、彼女の人種的関係ゆえに侮辱し、背中を叩き、彼女の名前を侮蔑的に呼ぶことで人間の尊厳を侵害したというものである。ワルシャワ・スロドミエスキSrodmiescie地裁は、2004年8月9日判決で、6月の刑事施設収容を命じた。固有名詞の読み方は調べていない。なお、自由制限刑の内容も不明だが、刑事施設に収容されないが何らかの条件を付して行動制限(外出制限、旅行制限等)を課す刑罰と思われる(要調査)。