Thursday, April 24, 2014

安倍軍国主義政権との闘い

斎藤貴男『戦争のできる国へ――安倍政権の正体』(朝日新書、2014年)                                                                                              集団的自衛権をめぐる「議論」――実際は議論を否定するごまかしの議論――がなされている第二次安倍政権の現在を、様々な角度から検証した本である。憲法前文と憲法9条が掲げた平和主義と平和的生存権を転覆して、「積極的平和主義」という「積極的戦争主義」に邁進する政権は、私たちをどこへ連れて行こうとしているのか。自民党改憲案、その準備に携わった政治家たち、学者たちへのインタヴューをもとに、戦争のできる国への準備が着々と進められ、憲法の空洞化が際限なく進められている現実を明らかにしている。                                                                                   また、立憲主義や、主権とは何か、さらには生存権、そしてネトウヨ・ナショナリズムなど、この国の病的な現象も含めて、国家と社会の構造的再編が解明される。                                                                                         最後に著者は次のように述べる。                                                                                 「タブーであり続けてきた戦後戦争経済史を直視し、その再検討を躊躇わない態度が、それこそ隘路に陥っている日本の未来を構想するには欠かせないと考える。アジア太平洋戦争をめぐる歴史認識だけが問題なのではないのである。」                                                                                                誤解のないように補足すれば、著者は「アジア太平洋戦争をめぐる歴史認識」が重要でないなどと言っているのではない。その重要性を踏まえつつ、それだけではなく、現在の「戦争経済」こそ重要だと述べているのだ。空疎なナショナリズム、愛国心、ヘイト・スピーチ、歴史否定、戦争賛美のイデオロギーが渦巻く現状を牽引しているのは、単なるイデオロギーではなく、軍需産業を中心とする戦争経済体制である。そこに著者はメスを入れている。だから本書は重要である。