Saturday, April 05, 2014

ヘイト・クライム禁止法(70)リヒテンシュタイン

人種差別撤廃委員会第70会期に提出された政府報告書は、委員会による前回勧告に応答する形で書かれている(CERD/C/LIE/3. 20 December 2005.)。刑法第二八三条は、人種主義の促進・煽動等を犯罪としているが、条文は引用されていない。                                                                                       前回、二〇〇一年の第二回政府報告書に関連条文が引用されている(CERD/C/394/Add.1. 6 November 2001.)。刑法第二八三条は以下の行為を二年以下の刑事施設収容としている。                                                                  ・人又人の集団の人種、民族的出身又は宗教を理由とする、人又は人の集団に対する憎悪又は差別の公然煽動。                                                                                            ・人種、民族的又は宗教集団メンバーを組織的に軽蔑又は中傷するイデオロギーの公然流布。                                                                                                    ・同様の目的での宣伝活動の組織、促進、参加。                                                                                                                   ・彼、彼女又は彼らの人間の尊厳を侵害する方法で、人又は人の集団の人種、民族的又は宗教に基づいて、人又は人の集団を軽蔑又は差別する象徴、仕草、暴力又はその他の形態の行為を電磁的手段で公然伝達。                                                                                                            ・ジェノサイド又はその他の犯罪の否定、ひどい矮小化又は正当化、並びにその目的で象徴、仕草又暴力行為を電磁的手段で公然伝達。                                                                                                           ・人又は人の集団の人種、民族的又は宗教に基づいて人又は人の集団に公共利用のためのサービス提供の拒否。                                                                                                                       ・人種差別促進・煽動に従事する組織への参加・メンバーであること。                                                                                   リヒテンシュタイン前回報告書によると、条約第一条一項に従って、人種差別に当たる内容の文書、音響、映像記録、象徴、表象その他の物を製作、貯蔵、流通、公然賛美、展示、提供又は陳列した者は処罰される。                                                                                                                                     刑法第三二一条はジェノサイドの規定であり、ジェノサイド条約や国際刑事裁判所規程と同様の定義を採用している。そして、刑法第三二一条二項はジェノサイドの共謀を一〇年以下の刑事施設収容としている。                                                                                                                人種差別撤廃委員会はリヒテンシュタインに次のような勧告をした(CERD/C/LIE/CO/3. 7 May 2007.)。刑法第二八三条が人種差別煽動を禁止しているが、条約第四条(b)が要求する人種主義団体の禁止が含まれてない。こうした法の予防的役割が重要であり、条約第四条(b)に従って特別立法を行うよう勧告した。