Thursday, January 14, 2016

ヘイト・スピーチ研究文献(48)スイスにおける反差別法

前田朗「スイスにおける反差別法・政策」『部落解放』717号(2015)

2013年5月14日にスイス政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書CERD/C/CHE/7-9)から、反差別の取り組みを紹介した。
スイスと言えば、永世中立国、カントンにおける直接民主主義、観光立国で知られ、人種差別に対する法・政策も高い水準にあると見られてきた。
しかし近年は動揺が見られる。EU諸国間の人の移動の自由化を大幅に進めたシェンゲン協定に加入したため、協定加入国からの人の移動が一気に自由化され、拡大した。これによって短期滞在の観光客や、国連などの国際公務員・国際機関職員以外にも、さまざまな外国人が流入し、長期滞在・居住する例が増えてきた。人種・民族関係は従来以上に複雑化してきた。このためヘイト・クライム、ヘイト・スピーチの増加が懸念されている。
それに対してスイス政府及び各カントン政府が行っている反差別法・政策を紹介した。