Tuesday, January 05, 2016

新春コンサートは「ベートーヴェン物語」

上野の東京文化会館で、崔善愛企画のChamber Music, Anyone? Vol.17 「ベートーヴェン物語 苦悩をつきぬけ、歓喜にいたる」だった。ズシキツネ、シンスゴキツネ、ジンナイキツネをはじめ市民運動仲間が詰めかけた。
ピアノ&脚本が崔善愛。
ヴァイオリン:梅原真希子・竹原奈津、ヴィオラ:渡邉信一郎、チェロ:三宅進。
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第5番「春」第1楽章、弦楽四重奏曲第4番第1楽章、ピアノソナタ「月光」、ピアノ協奏曲第4番より、交響曲第9番第4楽章より・・・・
演奏だけではなく、進行・司会役の斉藤とも子が、朗読を担当した。
崔善愛が用意した脚本は、ベートーヴェンの生涯を追いながら、その作品と人となりを紹介しつつ、自由と平等を求める啓蒙と改革の時代を生き抜いた天才の苦悩を描き出す。ラストの「歓喜」に至るまで、一直線の生涯ながら、揺れ動きながらも、「苦悩をつきぬける」までの精神のたたかいを理解させるものだった。言うまでもないことだが、現在の崔善愛の課題であり、(天才とはかけはなれているが)私たちの課題である。
パンフレットに崔善愛のエッセイが収録されている。その末尾の次の一節を紹介しておこう。
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今年戦後70年、ウィーンでは、ナチスドイツからの解放を祝うコンサートが開催され、ベートーヴェン交響曲第九番が演奏された。
このコンサート会場でオーストリアのファイマン首相は一万五千人の観客を前に語った。
「戦争や憎しみをあおる政治を試みる勢力が現れたら、黙って見過ごしてはならない。」
ファイマンさん、日本に移住してくれないかしら。
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黙って見過ごしてきた私の学問と実践が問われている。

正月5日の午後、切なさと、ひたむきさと、激しさと、そして崔善愛の強さに感銘を受けた。