Friday, January 04, 2013

『若松孝二・俺は手を汚す』


若松孝二『若松孝二・俺は手を汚す』(河出書房新社)


 

ピンク映画の巨匠にして、『赤軍PFLP世界戦争宣言』『実録・連合赤軍・あさま山荘への道程』『キャタピラー』『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』の監督・若松孝二の46歳の時の回顧談。1982年にダゲレオ出版から出たもの。

 

若松孝二 (ワカマツ コウジ):映画監督。1936年生まれ。『甘い罠』により監督デビュー。監督作品に『犯された白衣』『略称・連続射殺魔』『水のないプール』『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』など。201210月、死去。

 

『若松孝二全発言』が2010年に出ていたので、セットになる。

http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309271958/

 

申し訳ないが『キャタピラー』しか観たことがないので、若松映画についてほとんど何も知らない。

 

本書は、東北の田舎に生まれた貧しい少年が東京に出て映画屋になっていき、ピンク映画における実験性を追求し、大島渚の『愛のコリーダ』で世界に知られ、赤軍映画で世間をアっと言わせていたころの話である。

 

登場する人物は、大勢の俳優たちと、菅原文太、足立正生、松田政男、大島渚、唐十郎、平岡正明、岡本公三、重信房子、内田裕也、・・・

 

「まだまだゆけゆけ、若松孝二! いつも熱かった。いつも熱かったことに、俺、少し安心した」の活劇人生の前半を楽しく読める。

 

終わりのほうでわずかながら映画論も語られている。

 

「俺には映画論なんてないんだよね。映画なんていうのは、ムチャクチャに撮れば、それでいいと思うんだよね。つながりとかそういうもの一切関係なく撮らなくちゃいけないと思っているわけ。」と語り、フリージャズを引き合いに出している。

 

若松ならではの発言だろう。

 

次は中上健二の『千年の愉楽』。