Wednesday, June 19, 2013

ヘイト・クライム禁止法(29)

イスラエル政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/ISR/14-16. 17 January 2011)によると、条約第2条に関連して、憲法第2条1項(a)が人種差別を禁止し、各種の基本法や法令において差別が禁止されている。政府にはマイノリティ省があり、マイノリティ問題大臣のもと、差別の予防や対策を行っている。人種差別の禁止や、人種差別団体を支援しないことも定めている。検事総長が、2008年4月13日、人種差別に関するガイドラインを作成・公表している。敵対行為の被害者補償法も制定されている。                                                                                 条約第4条について、刑法144条Aによると、人種主義とは「皮膚の色、人種的出身又は国民的民族的出身を理由に、コミュニティ又は住民の一部に対して、迫害、屈辱、中傷、敵意・憎悪・暴力の表示、又は敵意の惹起」とされている。刑法144条Bは、人種主義の扇動の意図をもって文書を出版した者は、それが結果を伴わなくても、5年以下の刑事施設収容としている。刑法144条Dは、出版する意図をもって人種主義扇動文書を保有した者は1年以下の刑事施設収容としている。2002年、刑法144条D2とD3が追加された。暴力やテロリズム、又はその称賛、支援、激励行為を呼び掛ける出版が、実際に暴力やテロリズムをもたらす恐れがある場合、犯罪としている。2004年11月、刑法144条Fの「憎悪犯罪」が追加された。公衆に対して人種主義や敵意を動機として行われた攻撃が、一定の加重事由の下で行われた場合、裁判所は刑罰を2倍に加重することができる。刑法133条は、住民の間に、憎悪を鼓舞することを禁止し、5年以下の刑事施設収容としている。テレコミュニケーション法、テレビ・ラジオ法なども人種主義扇動の放送を禁止している。