Monday, August 05, 2019

レオポルド美術館散歩


ウィーンの王宮街の隣に、博物館街がある。10もの博物館が複合した博物館・美術館施設である。その一つのレオポルド美術館に行ってみた。

メインは「ウィーン――1900年」という企画展だった。文字通り「世紀末ウィーン」をテーマとしているが、それかではない。都市生活の近代化もかなりウエイトを占めている。

展示の中心は、絵画では、エゴン・シーレだ。クリムトからシーレへの流れで位置づけているのは当然。もちろん、クービン、クリムト、モーザー、ワグナー、ベッケル、ドブロフスキーなど多彩な画家の作品が多数あったが、中心はシーレ。シーレと言えばなんと言っても自画像だが、他にも、死んだ母親、死んだ都市、喪に服す女、日没、海沿いの家、横たわる女等、充実していた。クリムトが少ないのは、日本に貸出し中だからか。

もう一つは、世紀末のウィーンの街を展示していた。街の様子の写真にはじまり、建築、そして室内装飾も独自に扱っていた。椅子や机などの家具が近代化していく過程だ。バウハウス以前のデザインはこういうものだったと納得。

モーザーの作品は特に注目。絵画だけでなく、ポスターや家具のデザインもしていた。モーザーのインテリアを配置して、壁にはモーザーの絵画。若いカップルのための室内装飾の例。

作品は1850年代から1915年頃までのものがあり、世紀末に限定されていないが1900年頃のウィーンを、世紀末ウィーンという側面と、近代化した都市生活という側面の両者がわかるように展示していた。

レオポルド美術館の小さなカタログと、シーレの作品集を買ってきた。ウィーン美術史美術館とあわせて、授業で1回取り上げよう。ちょうど日本ではクリムト展だから学生の関心も高い。