Wednesday, August 21, 2019

ヘイト・クライム禁止法(163)ラトヴィア


ラトヴィア政府がCERDに提出した報告書(CERD/C/LVA/6-12. 10 November 2017

刑法第891条は、特に重大な人道に対する罪、平和に対する罪、戦争犯罪、ジェノサイド、固化に対する重大犯罪を行うことを目的とする犯罪組織の設立、及び当該組織への関与に制裁を科している。

集会・行進・ピケット法第10条2項は、ラトヴィアの独立に反する行為、政治体制の暴力的転覆の煽動、法への不服従の呼び掛け、暴力、国民的憎悪及び人種的憎悪の宣伝、ナチス、ファシズム、コミュニズムのイデオロギーの表明、戦争宣伝、犯罪を称賛し煽動することを禁止している。二○一三年一一月、同法改正により、地方政府は、他人の権利、民主的国家システム、公共の安全、道徳等を危険にさらすイベントを禁止する決定をすることができる。

国内法はヘイト・スピーチ、すなわち社会の集団に対する、公然たる、口頭又は文書による、人種、国民、民族的憎悪の煽動を禁止している。

刑法第78条によると、人種、国民、民族的憎悪を惹起するために特定の意味を有するシンボルや儀式を用いることを犯罪としている。刑法第78条及び第150条(社会的憎悪の煽動)は、暴力や脅迫を刑罰加重事由としている。

刑法第78条は裁判でウエブサイト、ニュース・ポータル、ソーシャル・ネットワークにも適用される。ラトヴィア人、ユダヤ人、ロシア人、ロマに対する事案が裁判例にある。

2006年3月31日、リガ地方裁判所は、3人の被告人を刑法第78条2項で有罪とした。被告人らはスキンヘッド集団のメンバーで、アメリカ大使館勤務の皮膚の色の黒い職員に対して人種主義スローガンを叫び、身体に傷害を加えた。2人の成人に1年の自由剥奪及び3年のプロベーションを言い渡し、1人の未成年に6月の自由剥奪と2年のプロベーションを言い渡した。

2014年1月22日、クルツェメ地方裁判所は1人の被告人に刑法第78条2項の犯罪で判決を言い渡した。被告人はニュース・ポータルで国民、民族、人種的憎悪を煽動し、それは特定の民族に属する人々を標的とする内容であった。

2014年6月6日、ラトガレ地方裁判所は1人の被告人に刑法第78条2項の4月の自由剥奪の有罪判決を言い渡した。被告人はウエブサイトに、特定の民族に向けた消極的攻撃的姿勢をコメントし、公然と消極的憎悪アル意見を助長委、紛争を煽動し、国民憎悪を助長した。

2014年9月18日、ゼメガレ地方裁判所は、憎悪あるコメントの著者が他人の書いた文章を再出版した場合にも、著者には憎悪情報の出版に責任があるとした。

刑事訴訟法第350条は、犯罪を惹起した者によって支払われた賠償が惹起された害悪を補償すると言えないと考えた被害者は、民事訴訟で補償を求める権利を有するとする。

CERDはラトヴィア政府に次のように勧告した(CERD/C/LVA/CO/6-12. 25 September 2018

現行法がヘイト・スピーチに対処し制裁を科すのに適しているかを再検討し、法規制を条約第四条に合致させること。ヘイト・スピーチ事件について、報告、捜査、訴追、判決、制裁に関する信頼できる統計を次回報告すること。ヘイト・クライム/スピーチ事件を確認、登録、捜査、訴追するために研修プログラムを開発すること。政治活動において政治家が行ったものを含むヘイト・スピーチを捜査、訴追、処罰すること。インターネット上のヘイト・スピーチを予防する措置を講じること。

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