Friday, August 10, 2012

国連人権理事会諮問委員会で発言する


グランサコネ通信120810

Grand-Saconnex News. 120810





10日、NGOの国際人権活動日本委員会(JWCHR、スピーカー前田弓恵)は、ジュネーヴの国連欧州本部で開催中の国連人権理事会諮問委員会ACで、議題「平和への権利」において、発言した。冒頭に、6月の人権理事会決議を歓迎し、今会期に提出されたNGO文書NGO/3を支持すると述べたうえで、第1に、1973年9月7日の札幌地裁判決、2008年4月17日の名古屋高裁判決などで、平和的生存権が司法に認められたことを紹介。平和への権利国連宣言が確立すれば、世界中で同様に裁判をおこすことができるだろうと述べた。第2に、ハインツ諮問委員が作成した平和への権利宣言草案にピースゾーンの規定が入ったことを歓迎し、日本における無防備地域宣言運動を紹介した。第3に、福島原発事故に言及し、環境の権利、健康の権利などが平和への権利に含まれることを再確認した。(人権理事会および諮問委員会の審議の中で、ピースゾーンについて言及してきたのはJWCHRだけである)。



9日、ACは、平和への権利と国際連帯について審議した。平和への権利は、2010~12年に審議を行い、12年2月のACで最終報告書と国連宣言草案がまとめられた。6月の人権理事会HRCでは、今後も重要課題として継続審議すること、そのために作業部会を設置することが決議された。今回のACからはフォローアップということになり、ハインツ委員が今後のことを話していた。そこにJWCHR発言を入れた。今会期の平和への権利に関するNGO発言はJWCHRだけである。今後は、13年1月か2月に政府間レベルの作業部会が開催される。13年6月のHRCをへて、14年まで審議が続く見込み。



10日、ACは、テロリストによる人質問題、食糧の権利(都会の貧困、田舎の女性と貧困)、国際連帯などの決議を採択して閉会した。また、今後取り上げるべき新しい課題として、「地方政府と人権」「グローバリゼーションと若者」「非差別モデル法」などを提案することになった。HRCの了解が出れば、ACは、これらの課題に取り組むことになる。



なお、今会期限りで、チェン委員(中国)、ジーグラー委員(スイス)、ワルザジ委員(モロッコ)が引退である。閉会式のあいさつで、数人の委員がお疲れ様の謝辞を述べていたが、坂元茂樹委員がワルザジ委員のことを人権分野での「生きた伝説」と評していた。彼女は、1959年からモロッコ外務省メンバーとして国連に出席し、60年代から半世紀にわたって人権委員会小委員会で活躍してきたのだから、まさに伝説的存在だ。1990年代後半に、人権小委員会で、日本軍性奴隷制問題に関する決議を出すのに、ワルザジ委員が執拗かつ強烈に反対し続けたことが「懐かしい」。なぜか、彼女は、「アジア女性基金ですべて解決したから、これ以上議論する必要がない」と繰り返して「慰安婦」問題潰しに躍起となっていた。今、己の不明をどう考えているのだろうか。