Monday, August 27, 2012

金谷川のミンミンゼミ

福島駅から東北本線で南下する。福島と郡山を結ぶ路線だが、1時間に1~2本しか電車がないため、30分も待つ必要があった。2つ目の金谷川駅で降りて、ミンミンゼミの鳴き声が降り注ぐ坂を上るとキャンパスが広がっている。大学と、学生向け賃貸がなければ、ほとんど何もないのではないかと思うような駅周辺だ。駅名を福島大学前駅にしたほうがいいのではないだろうかと思うほどだ。

 

夏休みの集中講義で、今週と来週の2週間(合計10日)、刑法の授業を担当する。大学院時代の先輩がサバティカルでお休みのための代講だ。集中講義は、ずっと以前、静岡大学でも経験した。連日の授業はかなり大変だが、今は昔よりも厳しい。というのも、文部科学省の指導で、講義2単位の科目は15回の授業が必要だ。1日3コマを5日間続けなければならない。昔は15回という指導がさほど厳しくなかったので、月曜から土曜まで6日間2コマで12回の計算で通用していた。今は土曜が休みなので、月曜から金曜まで1日3コマだ。90分の授業を3コマ続けるのは、内容からいっても大変だが、体力的にもつらい。若いときはまったく苦にならないが、今は結構疲れるし、今日は猛暑だった。特に疲れるのが喉だ。他の教員の資料を見ると、中には4日で15回やっている人がいる。つまり、うち3日は朝から夕方まで4回授業だ。360分。いったいどんな授業なんだろうと心配になる。

 

もっとも、疲れるのは、学生のほうだろう。同じ教師の話を270分とか360分も聞き続けるなんて、ほとんど拷問ではないだろうか。行政学類の法学専攻の学生で、2年生が中心だ。聞いてみると、かなりの比率で公務員志望だ。初日だけの印象だが、まじめそうな学生が多い。憲法や刑法に関心の高い学生も多いが、中には仕方なく履修していると正直な学生もいる。

 

今日は刑事法の基礎知識のために、死刑冤罪事件として有名な免田事件、松山事件、死刑再審請求中の名張毒ぶどう酒事件を素材に、日本の刑事裁判の問題点を説明した。

 

明日は、代用監獄(留置場、代用刑事施設)、代用監獄を利用した長時間の密室取調べによる自白強要、そして拷問と、拷問等禁止条約の話を270分の予定だ。まさに拷問か。

 

明日も暑いようだ。沖縄のように猛烈な台風も困りものだが、この暑さも勘弁してほしい。先週まで快適なスイスで過ごしていただけに。