Friday, July 17, 2015

ヘイト・クライム禁止法(95)カザフスタン

政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/KAZ/6-7. 5 August 2013)によると、刑法は人種的不寛容に動機のある犯罪の責任を定めている。
刑法第五四条によると、国民的人種的又は宗教的憎悪又は敵意に動機のある犯罪の実行は刑罰加重事由とされる。
刑法第一四一条は、市民の平等権侵害を犯罪としている。市民の平等権侵害は、出身、社会的、公的、財産的地位、性別、人種、国籍、言語、宗教的見解、意見、居住地、任意団体の構成員であること、その他の事情に基づいて、個人の権利及び自由を直接または間接に制限することである。
刑法第一六四条第一項は、社会的、国民的、民族的、人種的、又は宗教的敵意の煽動に当たる行為を列挙している。社会的、国民的、民族的、人種的又は宗教的敵意又は不和を煽動する行為、市民の国民的名誉、尊厳、宗教感情に対する侮辱、市民の排除、優越性又は劣等性の助長が、公然と又はマスメディアを通じて、又は文書その他の情報の流布によって、行われた場合である。
刑法第一六〇条は、ジェノサイドの処罰を定めている。
刑法第三三七条二項は、人種的、国民的、民族的、社会的、階級に基づいた、又は宗教的不寛容または排除を主張し、実行する任意団体の設立又は指導者になることを犯罪としている。
二〇〇九年~一二年前半期に刑法第一六四条の国民的不和の煽動は二〇件であった。二〇〇九年が七件、一〇年が八件、一一年が一件、一二年が四件であった。二〇件のうち、裁判で実体審理になったのが一二件、執行猶予が二件、中断が一件、強制医療措置処分が一件、係争中が四件である。

二〇〇九年三月二一日、ある男性が携帯電話で「カザフ人よ、ロシア人を叩き出せ」と書いて、テレビ局のSMSに送付し、一時間、そのメッセージが放映された。テミルタウ裁判所は、被告人を刑法第一六四条違反の罪で有罪とし、三〇か月賃金相当の罰金とした。二〇一〇年一月、三人の女性がウイグル民族団体の名前で行動し、アルマティ市の複合住宅の壁に、カザフ人の代表の名誉と尊厳を侵害する言語をスプレーで書いた。二〇一〇年四月二四日、アルマティのメデオ裁判所は、三人を刑法第一六四条二項違反とし、二年の刑事施設収容を言い渡した。