7月15日、衆議院特別委員会で安倍暴走政権による戦争法案強行採決がなされた。憲法を破壊し、民主主義を否定する暴挙である。戦後日本の平和国家への希求を葬り去り、平和的生存権を押しつぶす横暴である。東京は深夜から激しい雨が降り続く。
森英樹編『集団的自衛権行使容認とその先にあるもの』別冊法学セミナー(日本評論社、2015年)
編者のほかに、浦田一郎、本秀紀、愛敬浩二、倉持孝司、青井未帆、城野一憲、清水雅彦といった憲法学者や、加えて政治学者、ジャーナリストの論文が収録されている。いずれも重要な論文であるが、特に重要なのは、松井芳郎「国連の集団安全保障体制と安倍内閣の集団的自衛権行使容認」であろう。
松井論文から、国際法における自衛権概念の登場、国連憲章51条の自衛権の意味、ウエブスター・フォーミュラから「武力攻撃」へ、自衛権主張の挙証と認定、以上を踏まえての国連憲章の集団的安全保障体制における集団的自衛権の位置をめぐる議論の重要性が分かる。さらに、安倍首相の提示する議論の枠組み、集団的自衛権容認の論理、自衛の「権利」と「義務」のすり替え、が指摘される。国際法上の論点の一部を記述したにとどまるが、それでも重要な指摘がなされている。
衆議院の議論では憲法論(合憲か、違憲か)に議論が集中した。とはいえ、議論が尽くされたわけではない。安倍首相は意図的にごまかし答弁に終始したからだ。憲法論は第一歩からやり直す必要がある。と同時に、松井が指摘する国際法上の論点は衆議院では正面から議論されていない。集団的自衛権はもともと日本国憲法が想定していない国際法上の概念であるのに、国際法の議論が置き去りにされているのは疑問である。