「昨年秋、オスロで開かれた死刑廃止世界会議に招かれたので、びっくりしました。旅行なんてしたことがなかったからです。2000年に逮捕されて、法律には無知だったので何が何だかわからないうちに死刑になりました。泣いて、絶望して、困惑して、どうしようもない日々でした。やがて、本を読むようになり、監獄の学校で勉強するようになりました。アフリカ監獄プロジェクトの協力で、ロンドン大学通信教育を受けました。それで法律を勉強したんです。わからないことばかりで、何度も何度も勉強しているうちに、ようやく訴願の出し方を知りました。それで憲法裁判所に訴願を出したんです。その結果、憲法裁判所が死刑は憲法違反だと判断しました。おかげで、2016年1月に釈放されたので、いまも法学の勉強を続けています。オスロに呼ばれたし、今日はジュネーヴに呼ばれました。」(スーザン・キグラ)
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3月1日、ジュネーヴの国連欧州本部で開催中の国連人権理事会34会期において、死刑に関する2つのパネルが開かれた。
1つは、ECPM(ともに死刑に反対する)主催の「猶予から廃止へ:2019年までの廃止戦略」である。
もう1つは、人権理事会公式のパネル「死刑問題に関するハイレベル・パネル」である。
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前者のECPMパネルのメインスピーカーが、監獄で法律を勉強して、違憲判決を勝ち取り、出獄した元死刑囚スーザン・キグラである。
他に、ノルウェー外務副大臣のマリト・エルガー・レスランド、ECPM事務局長のラファエル・シュヌイル・ハザン、中央アフリカ死刑反対連盟のメトル・リエヴィン・ンゴンジ。参加者は約80名。うち30名は政府代表で、私の隣に座ったのはブラジル、エストニア、リヒテンシュタイン政府。日本政府は不参加。
スーザンの演説以外の大きな話題は、2016年のオスロ会議を経て、今後の取り組み。2018年にアフリカで地域会議を開き、2019年にブリュッセルで世界会議を開くので、その準備。
他に、ノルウェー外務副大臣のマリト・エルガー・レスランド、ECPM事務局長のラファエル・シュヌイル・ハザン、中央アフリカ死刑反対連盟のメトル・リエヴィン・ンゴンジ。参加者は約80名。うち30名は政府代表で、私の隣に座ったのはブラジル、エストニア、リヒテンシュタイン政府。日本政府は不参加。
スーザンの演説以外の大きな話題は、2016年のオスロ会議を経て、今後の取り組み。2018年にアフリカで地域会議を開き、2019年にブリュッセルで世界会議を開くので、その準備。
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後者のパネルは、西インド大学教授のヴェレーネ・シェパード(ジャマイカ)が司会をして、ザイド・アル・フサイン人権高等弁務官、ハーレム・デシル・フランス外務大臣の挨拶、そして、チュニジア元大統領モンセイフ・マルゾウキ、ケニア人権委員会議長のカグヴィラ・ンボゴリ、ASEAN人権委員会タイ代表のセレエ・ノンハスート、人権理事会拷問問題特別報告者ニルス・メルザーの報告。
死刑廃止論者ばかりだが、後半の討論では、マレーシアやボツワナなどが死刑必要論を唱えていた。議論の中身は相変わらず同じことの繰り返し。
唯一おもしろかったのは、メキシコが「デュープロセスの下で死刑はなぜ可能なのか」と発言した部分。これは、死刑存置国が「死刑は人権問題ではなく、刑事司法の問題であり、国家主権の問題である。デュープロセスやフェアトライアルが保障されていれば、死刑は認められる」としてきたのに対して、普通は、「死刑は人権問題だ。死刑は拷問に当たる」と反論してきたところ、メキシコは「死刑とデュープロセスは両立しないのではないか」と唱えたのだ。この論点を詰めるべきだが、他の国が続かなかった。
理論的に整理すると、デュープロセスは刑事手続法の問題であり、死刑は刑事実体法の問題とされてきた。しかし、メキシコは「死刑は手続法と実体法の両方の問題だ」としているようだ。重要だ。
死刑廃止論者ばかりだが、後半の討論では、マレーシアやボツワナなどが死刑必要論を唱えていた。議論の中身は相変わらず同じことの繰り返し。
唯一おもしろかったのは、メキシコが「デュープロセスの下で死刑はなぜ可能なのか」と発言した部分。これは、死刑存置国が「死刑は人権問題ではなく、刑事司法の問題であり、国家主権の問題である。デュープロセスやフェアトライアルが保障されていれば、死刑は認められる」としてきたのに対して、普通は、「死刑は人権問題だ。死刑は拷問に当たる」と反論してきたところ、メキシコは「死刑とデュープロセスは両立しないのではないか」と唱えたのだ。この論点を詰めるべきだが、他の国が続かなかった。
理論的に整理すると、デュープロセスは刑事手続法の問題であり、死刑は刑事実体法の問題とされてきた。しかし、メキシコは「死刑は手続法と実体法の両方の問題だ」としているようだ。重要だ。