Saturday, March 11, 2017

チューリヒ美術館散歩

ダダイズム発祥101年目のチューリヒで拠点となったキャバレー・ヴォルテールを眺めてからチューリヒ美術館へまわった。玄関わきのロダンの「地獄の門」を撮影してから、会場へ。常設展と「ベルリン時代のキリヒナー」展をやっていた。
常設展は15世紀から現代アートまで。15~17世紀の宗教画や神話画、フュスリの神秘的空想画をへて、近代へ。地元スイスのホドラー、ジャコメティが充実。ミロ、カンディンスキー、クレー、ピカソ、レジェ、エルンスト。
「ベルリン時代のキルヒナー」展は、ダヴォス以前のキルヒナーの主要作品だ。ダヴォスに移住してからの作品はダヴォスのキルヒナー美術館で見た。それ以前、ドレスデン、ベルリン、そしてイェナのキルヒナーだ。独特のタッチの表現主義は初期から一貫している。人物も都市の風景も。もちろん油彩が中心だが、水彩、パステル、ペン、木版、リトグラフもあった。習作、下絵も展示されていた。1910年から15~16年頃のキルヒナーだ。通してみて一目瞭然なのは、ベルリン、イェナ、ダヴォスと移動しても、画風に変化がないことだ。ダヴォスでは、ダヴォスの町や周囲の山々を描いた作品がぐっと増えるが、タッチはそれ以前と変わらない。どこで何を描いたかで時期区分をしていたが、作風での区分とはかかわりがないのがわかる。
キルヒナーはダダと同じ時代だ。ともに第一次大戦の影響をもろに受けたのに、ダダはチューリヒからミュンヘンやパリ。キルヒナーはベルリンからダヴォス。移動する方向が異なり、交錯していないようだ。