センターには10年間通い続けている。9000点を超えるクレーの作品のうち4000点以上を所蔵しているため、毎年次から次へと企画展を実施しているので、見ごたえがある。
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この春の企画は2つ。
第1のホールでは「パウル・クレーとシュルレアリストたち」
宣伝パンフの表紙はキリコのアポリネール。マックス・エルンストやジョアン・ミロの活躍に加えて、ルイ・アラゴンとポール・エリュアールの登場、そしてハンス・アープ、アルベルト・ジャコメティ、アンドレ・マッソン、ルネ・マグリット、ピカソ、ダリへ。彼らとクレーの出会いや、対話を紹介しながら、それぞれの作品を展示している。シュルレアリズムの歴史に沿って、主要な作家たちとクレーの交錯を取り上げている。他にもバタイユ、ブルトン、ツァラをはじめ、すごい名前がずらり。そして、彼らの言葉がふんだんに引用される。
宮下誠『パウル・クレーとシュルレアリズム』(水声社、2008年)を思い出す。シュルレアリズムとの関係と、バウハウスにおけるクレーの双方を射程に入れた研究だ。センターでは分厚いカタログ『パウル・クレーとシュルレアリストたち』を販売していたが、ドイツ語とフランス語のみ。執筆者のなかにOsamu Okuda学芸員の名前があるのは当然。クレー研究と言えば、前田富士男、宮下、奥田ということになるだろう。
第2のホールでは「パウル・クレー――詩人と思想家」
画家や教育者としてのクレーは有名だが、さらに詩人や思想家という視点でも取り上げている。まずは初期の日記における結晶論、そして目――見る者としての私、あるいはサインとシンボル論。次には読書――「私は見て、見て、読んで、読むんだ。」「ゲーテは哲学者ではなく芸術家であり、前時代を通じて最大の芸術家なのだ」。クレーの蔵書も多数展示されていた。ゲーテはもとより、西欧の著名詩人の著作が多数並ぶ。
帰りに隣の墓地のクレーのお墓に墓参り。
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Noir Divin, Domaine du Paradis, Satigny Geneve,
2014.