Sunday, March 12, 2017

グローバル“後”の世界とは何か

的場昭弘『「革命」再考――資本主義後の世界を想う』(角川新書)
マルクス学の第一人者にして、このところユートピア論も展開してきた的場の最新刊。
「資本主義の危機は、勝利の美酒に酔ったときに始まった」と、グローバリゼーションに抗する世界的運動の状況を見ながら、世界史の謎に再度取り組む。
トランプとサンダースの登場・対抗の意味を抑圧された大衆の奮起に見る著者は、世界的に生じている極右と極左の対立や、難民とテロの現象や、経済的混乱も含めて、いまやグローバリゼーションを進めてきた資本主義の限界が迫っていると考え、これまでの価値観を新しい価値観が凌駕しようとしているとみる。
著者は、プルードン、マルクス、アーレント、フュレ、パリ・コミューン、アナルコ・サンディカリズム、レーニン、トロツキー、スターリン、アルチュセール、リクール、ネグリらの言説をたどり直し、ロシア革命から100年の今、欧州、アメリか、そして日本が直面している危機の性格に分け入り、「革命」の可能性を問う。
「革命という言葉が意味するのは、現に見えているものを変革するということではなく、見えないものをくみ取り、それを変えていくということです。およそこれまでの革命、そして革命家の思想というものは、まさにそうした目に見えないものをいかに理解し、変えるかであったといってもいいものでした。変化が簡単にわかるものは、実は革命でもなんでもなく、たんに現状の追認にすぎなかった場合が多かったわけです。」
帯には、マルクスの顔写真を背景に、MEGAを手にする著者の写真が配置されている。編集者のアイデアだろうが、かなり挑発的だ。