Tuesday, December 08, 2020

「桜を見る会」を追及する法律家の会、東京簡裁への「要請書」

 

要 請 書

 

2020年12月8日

東京簡易裁判所裁判官 各位

「桜を見る会」を追及する法律家の会

事務局長 弁護士 小野寺 義 象

世話人  弁護士 泉 澤   章

                                    外

1 要請の趣旨

「桜を見る会」前夜祭をめぐる問題について、貴裁判所に対して、検察官から略式命令が請求された場合、刑事訴訟法第463条1項の規定に基づき、通常の規定に従って、審判をしていただきたい。

 

2 要請の理由

⑴ われわれ「桜を見る会」を追求する法律家の会は、安倍晋三前首相の首相在任中、後援会主催で行われていた「桜を見る会」前夜祭において、参加者から集めた参加費の合計とそれを上回る宴会費用との差額分を、安倍前首相及び後援会関係者ら3名が共謀して補填した疑いがあるとして、同人らを政治資金規正法違反(不記載)及び公職選挙法違反(寄附行為)での起訴を求め、本年5月21日から本日まで4度にわたって、東京地方検察庁に1000通に近い告発状を提出している。

⑵ われわれの告発が端緒となり、その後東京地方検察庁は、被告発人や関係者らから事情聴取をしているとの報道がなされた。ところが、その後各種報道機関によって、安倍前首相に対する任意聴取を終えた段階で、東京地検は、安倍前首相の公設秘書だけを、政治資金規正法違反の嫌疑に絞り、しかも略式命令の請求をすることで、捜査を終結するとの報道がなされている。

仮にこれらの報道が事実であるとすれば、首相とその関係者らによる権力を濫用しての国政私物化という、民主主義を破壊する極めて重大な違法行為の全容が、公開の法廷で明らかにされることなく、終結してしまうことになってしまいかねない。われわれ法律家の会は、そのような事態になることを、深く憂慮している。

⑶ そこでわれわれは、仮に東京地検から貴裁判所に対して、本件について略式命令の請求があった場合には、刑事訴訟法第463条1項に基づき、略式命令が「相当でない」として、通常の規定に従った審判、すなわち正式裁判をするよう、要請するものである。

もちろん、裁判官は、すべての案件について、良心に従って独立して職務を行い、憲法と法律のみに拘束されるのであって、検察の請求をすべて是とするものでないことは、重々承知している。かつて、大手広告会社電通での違法残業事件で、東京地検が略式命令を請求したが、事案の重大性から、貴裁判所はそれを認めず、正式裁判を決定したことも記憶に新しい。

本件は、前首相の関与した犯罪という国政上の重大事件であって、その社会的影響は計り知れず、わが国の民主主義体制に与える影響も極めて甚大な事案である。正式裁判において真相を明らかにすることこそが、法の支配を司る裁判所に求められている。

 

3 結語

貴裁判所におかれては、今こそ司法に求められる機能を果たすべく、要請の趣旨に則った決定をしていただきたく、ここに要請する次第である。

以上